コラム
» 2007年10月01日 08時35分 UPDATE

小寺信良:「ワンセグ」が変えていくテレビの存在意義 (1/3)

携帯電話に牽引され、ワンセグの普及がめざましい。ただ、その普及が「何処でもテレビを見る」という行為の拡大につながるのではなく、テレビへの接し方の変革をもたらす可能性もある。

[小寺信良,ITmedia]

 移動体受信用としてスタートしたワンセグ放送。確か数年前のCEATEC JAPANあたりでは、受信スタイルとしては昔の小型液晶テレビみたいなイメージで受け止められていたように覚えている。

 だが今ワンセグを牽引しているのは、ケータイである。以前にもアナログテレビ内蔵のケータイは存在したが、電話機の中にデジタルテレビが入ってしまうというインパクトは、限りなく大きかった。

 そして何よりも、ケータイの経済規模の大きさがモノを言った。それが端末の差別化になると分かったとたん、大変な資本投下が行なわれ、あっという間にワンセグユニットを1チップ化してしまった。日本の半導体技術すげえと思うと同時に、ケータイ産業の資本力すげえと思わざるを得ない。

 さて、ケータイでワンセグというのは、まあアリはアリなのだろうが、困るのはバッテリーの持続時間である。常時液晶画面を点灯しているわけだから、調子に乗って視聴していると、今度は肝心なときに電話機として役に立たなくなってしまう。

 しかしその反面、ワンセグは付いてるけど、実際にはそんなに見ないよねー、という意見もあるのではないだろうか。現在のワンセグケータイの売れ行きからすれば、もっと電車の中などでテレビを見ている人を見かけてもいいように思うが、多くの人はメールやケータイゲームで忙しいようだ。

 つまりケータイユーザーにおけるワンセグのあり方とは、特定の番組を注視する従来のテレビから、機能が付いていればそれでいいという、テレビ放送に対する期待度や意識の変遷の象徴ではないかとも思える。

AVメディア複合機に取り込まれるワンセグ

photo 「NW-A910シリーズ」

 ケータイの資本力によって破格に小型化したワンセグだが、それを利用した多くのAVメディア複合商品が登場してきている。先週も、ワンセグ機能搭載の新ウォークマン「NW-A910シリーズ」が発表された。

 従来の音楽再生機能にノイズキャンセリング機能が付き、そしてさらにワンセグが付いたわけである。音楽メインではない人がワンセグテレビとして購入する分には、メモリの少ない4Gバイト版でも十分だろう。価格も3万円前後と、小型テレビとしても妥当である。

 ソニーでは今年3月に、ワンセグとアナログFM、AMチューナー付きのポケットテレビ「XDV-100」を発表している。こちらの実売想定価格が4万円前後なので、ラジオはいらないという人には、今度のウォークマンは現実的な選択肢だ。

 そのXDV-100、FMチューナーがデジタルラジオ対応だったらなぁ、という人も多いことだろう。まあFMがデジタルだからどうだということよりも、デジタル放送のラジオはどれぐらい音が違うモノなのか、体験してみたいということだろうと思う。

 デジタルラジオを手軽に体験してみたいという人には、バッファローからワンセグとデジタルラジオに対応した「ちょいテレ」の新モデル、「DH-KONE/U2R」が10月下旬に発売される。もちろんPCが必要なのはしょうがないが、1万3千円程度で試せるというのがメリットだ。これは明日から開幕するCEATECでも展示されるので、足を運んでみるのもいいだろう。

 この「ちょいテレ」を初めとする、USB接続のワンセグ製品は、PCの世界でも売れ筋商品として定着しつつある。PCディスプレイに対しては当然フル画面では表示できないワンセグが、なぜ受けるのか。

 やはりテレビは、情報ソースとして必要としている人が多くいるということが再確認されたという意味がひとつ。そしてもうひとつは、すでにテレビ放送は大きな画面に集中するものではなく、付けっぱなしにしてチラ見しながら情報をすくい取るという存在に変質しつつあるということなのだろう。

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