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液晶テレビの画質を向上させる「ドルビービジョン」とは?CEATEC JAPAN 2007(2/2 ページ)

» 2007年10月05日 19時11分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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photo 内部処理の概要

Rajagopalan氏: 最初に、LDR(Low Dinamic Range)の入力した8bit信号を16bitに拡張します。これはダイナミックレンジをフルに得るためです。さらにフレーム毎に映像を解析して処理を行い、16bitのうち8bitをLEDアレイに、残りの8bitをLCDパネルに出力します。バックライトは複数の領域に分割されていて、それぞれを独立して暗くしたり明るくしたりといった局所的な制御を行います。バックライトだけにすると、その動きがよく分かります。

photo 液晶パネルを外してバックライトだけにしたところ(のイメージ)

――コントラスト比はどの程度向上するのですか?

Rajagopalan氏: コントラスト比でいえばCCFLの100倍程度は改善できると考えています。もちろんLEDの数を増やし、細かい制御ができれば性能はさらに向上します。

 コントラスト比の向上とともにダイナミックレンジの拡大も大きなポイントです。左側の10bitパネルでも髪の細かい部分は見えにくいですが、中央の画面ははっきり表示できているでしょう。人間の目は幅広い輝度レンジを捉えることができますが、現在の液晶テレビでは見えるものも見えません。また静的コントラストの向上は、立体感にもつながります。風景に奥行きを感じることができると思います。

Voltolina氏: このほか、副産物として電力消費を抑える効果もあります。バックライトをオン/オフするため、同じ明るさ設定でも電力消費は30%少なくなります。環境にも優しい技術といえるでしょう。

――今回の発表では、「ドルビービジョン」と「ドルビーコントラスト」という2つの名称が出てきます。概要を見るとどちらも局所輝度制御を使ったLEDバックライト向けの技術ですが、どう違うのですか?

 「ドルビービジョン」も「ドルビーコントラスト」も基本は同じです。高輝度のLEDバックライトを使用するのが「ドルビービジョン」、従来のCCFL管と同等の輝度を想定したものが「ドルビーコントラスト」です。言い換えますと、「ドルビービジョン」はハイエンドの薄型テレビ向け。「ドルビーコントラスト」は普及タイプに使われる技術です。

photo

――LEDバックライトはまだまだ高価です。ドルビービジョンを含め、LEDバックライトのテレビ製品が普及するのはいつ頃になるでしょう

photo 同社ブースでも技術展示を行っている

Voltolina氏: 今回は技術発表という位置づけなので、いつまでという確約は控えますが、テレビへの実装コストは“LEDそのもの”の価格に左右されます。確かに、LEDはまだまだ高価で、一部の製品にしか使われていません。しかし、LEDはバックライトのほかにも照明器具など、さまざまな分野で投資が行われていますから、いずれテレビメーカーもその恩恵を受けることができるでしょう。ちなみに今回のデモ機は1380個のLEDを使っています。

 そして、この技術はとてもスケーラブルです。LEDの数はいくらでも増やせますし、減らすこともできる。LEDバックライトの密度が高ければパフォーマンスはアップしますから、後はコストとパフォーマンスのバランス。価格重視の製品でも相応の効果が得られるので、セットメーカーの戦略次第で柔軟に使えると思いますよ。

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Dolby | LED | 液晶テレビ | コントラスト | CEATEC


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