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価値あるBDビデオカメラ――日立“BDカム Wooo”「DZ-BD7H」レビュー(3/4 ページ)

» 2007年10月12日 09時27分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
photophotophoto 上部のズーム/静止画シャッターも手に馴染みやすく操作性は良好(左)、左側後方には、「秒撮」「ディスクナビゲーション」「ダビング」ボタンを配置。液晶モニターを閉じていてもサッと押せる点はうれしい(中)、ボディ背面、撮影時の操作系は至ってシンプルにまとめられており、いざというとき迷うことはない(右)

 さて、肝心の画質についての話をしよう。映像の美しさに関してひとことでいうならば、可もなく不可もなくといった印象だ。本製品は動画撮影時の画質モードとしてHX/HF/HSの3つを備えており、HXのみ1920×1080で、HF/HSは1440×1080となる。以下にHX/HF/HSの各モードで撮影した動画のサンプルを静止画とともに掲載する(※動画については撮影時の形式「.m2ts」をそのまま掲載しているため、環境によっては閲覧できない場合があります)。

photo HXモードの静止画サンプル。サイズは1920×1080、ビットレートは約14Mbps(動画サンプル.m2ts形式)
photo HFモードの静止画サンプル。サイズは1440×1080、ビットレートは約10Mbps(動画サンプル.m2ts形式)
photo HSモードの静止画サンプル。サイズは1440×1080、ビットレートは約7Mbps(動画サンプル.m2ts形式)

 ハイビジョンならではの精細感は感じるものの圧縮率が高いためか、奥行き感の乏しい画面になりやすい。それよりも気になるのが、色に力強さが足りない点だ。撮影当日は快晴に近い天気だったにもかかわらず、撮れた映像は全体的に薄く墨が乗ってしまったような印象。良くいえば落ち着いた、悪くいうと色あせた映像になってしまいがちだった。

 特に暗部の階調に乏しく、平坦に見えてしまうのは残念。これらは単板映像素子を採用するビデオカメラでありがちな現象ではあるが、筆者が個人的に利用してるキヤノン「iVIS HV10」も単板CMOSセンサーを利用しながら色乗りも華やかさも本製品より優れている。こうした部分は映像補正回路のソフトウェアに頼る部分も大きいはずなので、さらなる熟成を望みたい。

 しかも困ったことに、この「墨っぽさ」に気がついたのはテスト撮影を終え事務所に戻ってから。カメラに付属している液晶モニターは彩度が高いため、撮影時はそれなりに良好な映像に見えてしまうのだ。再び撮影に繰り出し、メニュー操作で改善できないかと試してみたが、あまり変化はなかった。

photo 40倍デジタルズームの最大望遠チェック。静止画ではデジタルボケに加えて、色の浅さも気になるところ

 念のため事務所でブラウン管モニターと液晶モニター、液晶プロジェクターの3台でチェックしてみたが、各機器の彩度や明度を調整しても劇的に改善されることはなかった。強いていえば液晶モニターは彩度を上げることで多少派手めな映像になるので、何とか誤魔化すことはできそうだったが、DZ-BD7Hで撮影した映像を見るためだけに専用の設定を用意しなければならないのはなんともおかしな話。ぜひとも“普通に”ハイビジョン撮影を楽しめる絵作りを進めて欲しい。

 もうひとつ、手ブレ防止機能をオンにしたときの映像にも改善を望みたい(動画サンプル.m2ts形式)。手ブレ防止そのものの効きはなかなか良好で、細かな手ブレをうまく吸収してくれるのだが、残念ながら映像にゆがみが生じてしまうケースがある。特にズーム時、ポールなど垂直なものを撮影していると分かるのだが、画面上と下では被写体が斜めに歪んでしまうのだ。これらは「顔前スタイル」で撮影すれば腕が固定され手ブレが少なくなるので、こういった点が気になる人は撮影スタイルにも使い分けが必要だ。

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