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» 2008年04月04日 17時26分 UPDATE

本田雅一のTV Style:BDレコーダーの最新動向を探る(2)――性能を左右する2つのプラットフォーム

BDレコーダーで大きなシェアを握っているのがソニーとパナソニック。このうちソニーはNECエレクトロニクスの「EMMA」、パナソニックは自社開発の「ユニフィエ」をプラットフォームとして採用している。

[本田雅一,ITmedia]

 Blu-ray Discレコーダーのプラットフォームは、大きく分けてNECエレクトロニクスとパナソニックに分かれるという話を先週書いた。これまでは米Sigma Designs、米Broadcomといった企業のLSIが使われることもあったが、レコーダーに関しては日本の上記2社に収斂していくとみられる。

 BD世代では(DVDに比べて)システムが大幅に複雑化しており、大手が採用するシステムLSIを基礎に、ソフトウェアコンポーネント、開発ツールを用意したプラットフォームしか生き残れなくなってきたからだ。とくにレコーダーとなると、ただでさえ複雑なBDプレーヤーのソフトウェア開発にくわえ、レコーダー部分の開発が必要になる。メーカーとしても、一から十まですべて開発していくのは難しい。

photo 2005年に登場した「UniPhier」(ユニフィエ)の評価用LSI

 さて、BDレコーダーといえば、大きなシェアを握っているのがソニーとパナソニック。このうちソニーはNECエレクトロニクスの「EMMA」、パナソニックは自社開発の「UniPhier」(ユニフィエ)を用いる。この両社が採用し、鍛え上げることでプラットフォームとしての信頼性、コストパフォーマンスが上がっているわけだ。

 ただしNECのEMMAは、2006年末に現行の「EMMA3」をリリースしてから時間が経過しており、年末商戦に向けては新たに性能や画質を強化したチップが登場する可能性がある。現状、BDビデオの再生画質に関してはユニフィエの方が優れており、またハイビジョンをH.264で再圧縮する機能に関しても、EMMAは外付けのチップに頼る必要があるなど、性能面で不利な面があるからだ。

 一方のユニフィエだが、ユニフィエが高画質と言われる理由は、パナソニックオリジナルのクロマアップサンプリング(色情報の少ない4:2:0フォーマットの画素を4:4:4に変換する手法)技術が、非常に優れた実装になっているためだ。デジタル映像の時代でも、これほど変わるものか? というぐらい、この処理は的確で画質向上に寄与する(ただしデジタル放送コンテンツでは通常処理となり、一般的なデコーダーと画質は変わらない。高画質になるのは市販のBDビデオのみだ。パナソニックは、放送波に含まれる実質的な色情報が少なく、高い効果が得られないかためと説明している)。

 ただし、誤解されがちなのだが、これはユニフィエというLSI(AV向けマイクロプロセッサ)の機能というよりも、その上に載せられているアプリケーションが優れているのが理由だ。このクロマアップサンプリング技術はパナソニックAVC社オリジナルの技術なので、松下電器産業半導体社が外販しているユニフィエでは利用できない。

photo ユニフィエ搭載のメリットを最大限に享受するには現状でパナソニック製BDレコーダーしかない

 パナソニックはBDレコーダー本体をOEMで外部には出していないため、ユニフィエ本来の画質を楽しむには、パナソニック製品を購入しなければならないことになる(ただし、半導体社が販売しているMPEGデコーダーは、通常のLSIと同じ至極まっとうな処理を行っているので“画質が悪い”というわけではない)。当初はH.264ハイプロファイルのリアルタイムエンコード部分もAVC社オリジナルの技術として販売しない方針だったようだが、流石にこの機能がなければ各社は魅力ある製品を独自開発できない。そこでH.264エンコード機能に関しては、他社ユニフィエ採用機にも搭載されている。

 表向きに公表はされていないが、三菱電機がユニフィエベースで製品を開発(付加価値部分に関しては独自にソフトウェア開発)しているほか、プレーヤーとしてはデノンが音質を強化した高級機を開発・販売している。このほか、船井電機が用意しているBDプレーヤーも、ユニフィエをベースとしているようだ。

photo ソニーの「BDZ-X90」は、「ブラビアエンジン・プロ」にも採用されている「DRC-MFv.2.5」を搭載。解像感や質感の高い映像を出力する

 このような事情の中、EMMAの新しいシリーズがどのような機能を持つのか。そして画質面で松下電器に先を越されたソニーが、どのように巻き返すかが注目されるところだろう。ソニーは「BDZ-X90」に独自の高画質化チップを搭載したが、MPEGデコード時の処理を工夫しているパナソニックに対して、後処理で絵の質感を変えるだけでは太刀打ちできない。音質面でもややパナソニックが優位な傾向が感じられる。こうした事態にソニーも危機感を持っているようで、パナソニック対策を十分に施した製品を年末に向けて用意しているようだ。

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