松下電器産業は10月13日、デジタル家電向け統合プラットフォーム「UniPhier」(ユニフィエ)の報道関係者向け説明会を行った。商品への搭載開始をあらためてアピールするとともに、ホームAV用、携帯電話用など3種類の基本システムLSIを公開。UniPhierを採用するメリットを説明した。
UniPhierは、デジタルTVなどのホームAV機器から携帯電話、カーAV製品まで、幅広い製品ジャンルをカバーする統合プラットフォームだ。システムLSIと、共通のソフトウェアプラットフォームで構成されている。
システムLSIは、CPUコア、映像/音声信号処理を担当する「UniPhierプロセッサ」(メディアプロセッサ)、ストリームコントローラ、メモリコントローラなどを1チップ化したもの。UniPhierプロセッサには、製品ジャンルに応じたハードウェアエンジン(たとえばパーソナルAV用LSIならMPEG-2エンコーダー/デコーダーなど)とハードウェアエンジンの違いを吸収するIPP(Instruction Parallel Processor)を内蔵している。このため、ハードウェアエンジンの構成が異なる製品でも、同じアプリケーションが動作する。用途によってハードウェアエンジンの構成を変更できる柔軟性と、ソフトウェア開発の期間とコストを削減できる点が大きい。
「家電の多機能化により、ここ数年でソフト開発規模は急増した。製品ジャンルの垣根を超えてソフトウェアの再利用が可能にれば、開発効率を上げることができる。また、進歩の早いデジタル家電は製品寿命が短く、いかに早く開発コストを回収できるかが大きなポイント。UniPhierは、デジタル家電の価格下落に対する1つの回答だ」(同社)。
既に同社は「パーソナルAV用」「携帯電話用」「ホームAV用」のシステムLSIを商品化しており、たとえばパーソナルAV用LSIはSDマルチカメラ「SDR-S100/S300」に採用済みだ。また携帯電話用のUniPhierは、NTTドコモの1セグ放送対応携帯電話「P901iTV」に搭載予定。このほか、メディアプロセッサ部分だけを抜き出したグラフィックシステム「GRiTT2」を車載AV機器向けに昨年春から出荷しており、パナソニック・オートモーティブがカーナビに搭載している。
DVDレコーダーやデジタルTVなどホームAV製品への搭載も「2006年度中」(同社)には開始する計画だ。会場にはUniPhierを搭載したデジタルTVがHD解像度のH.264を再生するデモンストレーションも行われていた。
松下電器が提示した開発ロードマップによると、2006年までを“Phase I”として統合プラットフォームの確立を図り、2007年から2008年の“Phase II”ではCPUコアにARMの「Cortex-A8」を採用するなどしてパフォーマンスを向上させる考え。さらに2009年移行の“Phase III”になると、リコンフィギャラブルが可能になるとしている。つまり、製品が発売された後でもソフトウェアアップデートなどにより、メディアプロセッサの機能を拡充できるようになる。「リコンフィギャラブルによって“柔らかデジタル家電”が実現できるだろう」。
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