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BDレコーダーの最新動向を探る(1)本田雅一のTV Style

» 2008年03月28日 23時07分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 各社からこの夏のオリンピック商戦を見据えたテレビが次々に発表されている。今後数週間の間に、すべてのメーカーから製品が出そろうことになるだろう。

 テレビ本体については、新製品の発表が一段落した頃に今年のトレンドや注目点について取り上げたいと思う。そこで、これから数週間をかけて、ハイビジョンテレビの良きパートナーであるBlu-ray Discレコーダーについて、今年の傾向や業界全体の動きをまとめたいと思う。まず今週は、ハイビジョンレコーダー全体のトレンドを抑えておきたい。

品不足だった年末商戦

photo パナソニックが投入した「DMR-BR500」。シングルチューナー化などで価格を引き下げた

 昨年の年末商戦ではハイビジョンレコーダーのうち、2割近い台数をBlu-ray Discドライブ搭載機が占めた。しかし、これはパナソニック製BDレコーダーの深刻な品不足や、豊富な数を用意し増産もかけたはずのソニーも売れ筋の弾切れを起こし、さらに潤沢な数を用意しようとしたシャープも発売の遅れなどで出遅れた結果の数字だ。

 例年、高額なAV家電の売り上げは年末商戦から1月前半をピークに下降する。今年もその傾向はあり、いったんはBDレコーダーの割合も1割ぐらいまで落ちたが、現在はまた2割ぐらいまで増えてきている。

 ソニーに続き、松下電器が低価格のシングルチューナー機「DMR-BR500」を投入したほか、三菱電機もオリジナル設計のBDレコーダー「DVR-BZ200/100」を発表。今後はシャープからOEM調達を行うと考えられているパイオニアの参入も見込まれており、オリンピック前の商戦期では4割以上、5割ぐらい(5割以上という声もある)がBDドライブ搭載となっていくと予想される。

photo 三菱もオリジナル設計のBDレコーダーを発表。実売想定価格は、500GバイトHDDを搭載した「DVR-BZ200」が20万円前後、250GバイトHDDの「DVR-BZ100」が16万円前後

 すでに十分なハードディスク容量を持つハイビジョンレコーダーを所有している人に早く買い替えた方がいいとはいわない。しかし、ハイビジョンのまま光ディスクに映像を残しておきたい。あるいは、これからハイビジョンレコーダーを購入しようと考えているのであれば、BDドライブ搭載モデルを避ける理由はない。メーカーは予算に応じてDVDドライブ搭載モデルもBD搭載モデルも用意しているから、好きなものを選べばいい。

 ただし、よほどのマニアでなければ、毎年レコーダーを買い換えることはないはずだ。せっかくハイビジョンテレビを所有し、放送もパッケージもハイビジョン化されている中で、今後もずっとハイビジョンで残せないレコーダーを勧められるか? というと、個人的には勧めはしない。オリンピックというタイミングにこだわらないのであれば、無理に買い替える必要はないだろう。今は急速にBDレコーダーへの移行が進んでいる最中だから、年末にはレコーダー売り場のも様変わりしているはずだ。

 パナソニックは、シングルチューナー機を投入したことで、春夏の商戦期への準備は終わり。ソニーも春にラインアップの整理はあるようだが、本格的なモデルチェンジは秋以降になるようだ。もともと、春はミドルレンジからローエンド、秋に力の入った高級機を投入するというのがAV家電の製品投入パターン。DVDドライブ搭載機より高価なBDドライブ搭載機は、秋の新製品投入を予定しているところが多い。

 それぞれの製品の特徴は、発表記事やレビューを参考にしてもらうとして、ここではもっと俯瞰した目線で各社の採用する“プラットフォーム”を見ていくことにしたい。

 BDプレーヤー/レコーダーは、DVDプレーヤーに比べてかなり複雑になっており、各社が自社開発のLSIとソフトウェアで簡単に製品を作るというわけにはいかない。そこで登場したのが、製品を構築するためのプラットフォームだ。今年、業界を二分しているのはNECエレクトロニクスと松下電器の2社が提供するプラットフォームである(以下、次週)。

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