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ソニーとパナソニック、BDレコーダーの操作性を比較する本田雅一のTV Style

» 2008年09月29日 20時01分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 間に東芝“REGZA”の話を挟んだが、レコーダーにいったん話を戻そう。

 購入するのがBlu-ray Discレコーダーともなれば、当然、パッケージソフトの再生画質や音質、そして録画した番組の再生画質や音質も気になるところだ。今年は、ソニーが「CREAS」(クリアス)という独自開発の画像処理チップを搭載。パナソニックも、昨年はギリギリスケジュールに間に合った「UniPhier」(ユニフィエ)向けの画質処理を熟成させ、より完成度の高い画質へと近づけている。

photophoto ソニー「BDZ-X100」(左)とパナソニック「DMR-BW930」(右)

 しかし、レコーダーには“番組を録画する”という“本分”がある。今回はレコーダーとしての使いやすさについて話を進めよう。

 ソニーは今年、番組表のデザインを大幅に変更した。より高精細にして、見やすく一覧性が高くなったことは高ポイント。ただし、表示速度、スクロール速度が遅めなのがやや難点といえる。とはいえ、各社の自動録画機能の中でもっとも使いやすい「x-おまかせ・まる録」や、おすすめの番組を特集して記事のように見せる「x-みどころマガジン」など、ユーザーにより積極的に録画を楽しんでもらおうという意図を強く感じる。

photophoto ソニーのBDレコーダーに搭載された「CREAS」(クリアス)と「x-みどころマガジン」

 一方、パナソニックも画面デザインをフルHDテレビ向けに高精細なものに変更したが、やや気持ちが空回りしているように思う。確かに録画番組一覧の情報量は増えたが、基本的な使い勝手は以前と大きく違わない。広告付きの番組表レイアウトも今や少数派である。

 とはいえ、いくつか明らかに改善された部分もある。やっと搭載された自動チャプター機能「Wオートチャプター」と、チャンネル別番組表だ。チャンネル別番組表は、特定チャンネルの番組を指定した日数分一覧する機能。例えばWOWOWなど有料チャンネルの番組を一覧できるのはとても便利だ。このように若干の積極性はあるが、どちらかといえば控えめでユーザーに対しては受け身という印象を受ける。

 編集機能に関しては両者ともシンプルなカット編集中心ながら、大きな差は感じない。ちなみに従来のソニー機で個人的に不満だった、編集中にチャプター送りで番組最後までとばない件は今回も改善されていなかった。一方、パナソニック機は番組最後までチャプターで送れるが、そこから早戻しに直接入れない(コマ送りで戻して再生し、すぐに早戻しボタンという操作が必要だった)という件に関しては直っている(番組エンド時のみ、すぐに早戻しになる)。録画した番組の後ろをカットして容量を調整する際によく使う機能なので、ちょっとだけ編集してディスクに収めるという人には朗報だろう。

 さて、これら細かな改良にも関わらず、やはりソニーとパナソニックの両レコーダーを比較すると、パナソニックの方が使いやすい。理由は明快で、ソニーは“同時に実行できないこと”が、とても多いのだ。店頭などでさわってみたり、1つ1つの機能を使ったりといった場面ではあまり気にならないが、実際に1台のレコーダーを自宅で使い込むと、意外にできないことが多くて驚く。

 例えばチューナーで選局している番組の録画を開始すると、ダブルチューナーにも関わらず、ほかの局へと切り替えることはできない。このとき、録画中の番組を再生することもできない。Blu-ray Discへのダビング中に録画予約作業が可能になったのが、今年の改良点だが、“同時にできること”の制限については昨年のモデルから大きく変わったという印象を受けなかった。

photo パナソニック「DMR-930/830/730」のリモコン

 この点、パナソニックは昨年のモデルから機能制限がかかる場面が非常に少ない。今年追加されたWオートチャプターも2番組同時に付与できる。“おまかせ”でチャプターを打つためには、番組をデコードしてシーン判別を行うという複雑なプロセスが必要なため、能力的にはかなり厳しいのだが、それをやってのけているところにシステムプラットフォームの能力差が現れている(ソニーは録画1のみでオートチャプターが使える)。

 ただ、そのパナソニックも手放しでは褒められないのがリモコン。なぜ“30秒スキップ”ボタンがあるのに、後ろに戻すことはできないのか? “消去”ボタンの必要性はともかく、チャプターボタンの横に配置されているのはいかがなものか? など、昨年モデルで感じたリモコンデザインへの不満は、今年もまったく解消されていない。この点を嫌ってパナソニック機を選ばないユーザーが存在することを、同社はもっと重く受け止めるべきだろう。

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