ソニーは9月3日、Blu-ray Disc関連の新製品として、BDレコーダー6機種とBDプレーヤー2機種を発表した。レコーダーは全モデルに新しい高画質回路「CREAS」(クリアス)を搭載。あらゆるハイビジョンテレビで画質を向上させるという。
レコーダーの新ラインアップは、テレビ録画にフォーカスしたベーシックモデル「Tシリーズ」、ビデオカメラ連携の「Lシリーズ」、ハイエンドのホームシアターモデル「Xシリーズ」が各2機種の3シリーズ計6機種。Lシリーズにも手ごろなシングルチューナーモデルを追加するなどバリエーションの幅を広げた。主な仕様は下表の通り。
型番 | BDZ-T55 | BDZ-T75 | BDZ-L55 | BDZ-L95 | BDZ-X95 | BDZ-X100 |
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HDD容量 | 320Gバイト | 320Gバイト | 320Gバイト | 500Gバイト | 500Gバイト | 1Tバイト |
チューナー | シングル | ダブル | シングル | ダブル | ダブル | ダブル |
市場推定価格(※) | 11万円前後 | 14万円前後 | 13万円前後 | 17万円前後 | 20万円前後 | 28万円前後 |
発売日 | 10月10日 | 9月27日 | ||||
3シリーズ共通の特徴として、CREASによる画質向上が挙げられる。CREASは「Creativity&Reality Empowering Architecture by Sony」の略。1センチ角程度の小さなチップには、ハイビジョン映像を画素単位で特徴点解析して14ビットに再構成する「HDリアリティーエンハンサー」機能と、14ビット相当の色階調を保持したまま映像を出力する「Super Bit Mapping for Video」機能が詰め込まれた。HDMI入力を持つハイビジョンテレビと組み合わせれば、それが通常の8ビット(256階調)入力でも、あるいはDeep Color対応の10/12ビット入力でも、14ビット(1万6384階調)に匹敵する階調性を持って表示できるという。
“14ビット相当”の仕組みは、人間の視覚特性を利用した独自アルゴリズムにある。CREASではまず、画素単位の特徴点解析により、圧縮などで発生したゆがみや失われた信号を検出。適応的にエンハンスフィルターを複数同時に制御して、埋もれたディティールを再構成する。エンハンスやスムージングなどの効果を加えながら、8ビットの映像信号から14ビットの情報を作り出す。
14ビットのデータは、Super Bit Mapping for Videoに渡され、8ビットや10ビットに変換する際に量子化誤差を高周波の領域に持っていくといった作業を行う。これは、「人間の視覚特性は、高い周波数に対して感度が低く、高周波信号は視覚的に平均化されて見えるようになっている」ため。「端的にいうと、目に見えないノイズのようなものを入れる。すると分解能のない部分でも、人間の目が積算して分解能を持つようになる」。つまり、人間の視覚が勝手に階調性を補完して8/10ビットの信号を14ビットに近い映像として知覚するという。
CREASの具体的な効果としては、エンハンスによる「くっきり」効果とスムージングの「なめらか」効果が挙げられる。例えば、平坦で滑らかなはずの部分に生じる疑似輪郭(等高線状の縞模様、カラーバンディング)がなくなり、滑らかな映像になる。また細かい部分はノイズの発生を抑えて精細感が出るという。
ソニー業務執行役員SVPオーディオ・ビデオ事業本部の根本章二本部長は、「CREASは、デジタルの再現性とリニアで情報量の多いアナログの特性を実現した」と胸を張る。
「2011年のアナログ停波以降は、デジタルハイビジョン放送の画質が“スタンダード”になる。しかしハイビジョン映像にもしっかりと画質の優劣があり、より良い画質を求めるのは自然な欲求。ソニーは“2011年画質”として、プロフェッショナルの画質を家庭に持ち込む」(同氏)。
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