コラム
» 2008年10月15日 08時30分 UPDATE

小寺信良の現象試考:「プロフ」の何が問題か (1/3)

MIAUで“ネットの教科書”をリリースしたところ、次は「プロフ」について取りあげて欲しいという意見をいただいた。しかし、禁止するのみでは解決にならない。何が問題かを整理してみよう。

[小寺信良,ITmedia]

 MIAUでネットリテラシー読本をリリースして、いろいろな方のご意見を伺っている(MIAUが“ネットの教科書”冒頭部公開 CCライセンスで)。ネットでは何をどうやっても必ず叩く人というのが出現するのが常だが、実際の教育現場の方々からは高い評価をいただいている。それもそのはずで、実はあの読本を作る前には、多くの先生方からかなり時間をかけてヒアリングを行なってきたのである。

 リリース後もさらにヒアリングを続けているが、次のテーマとして取り上げて欲しいもののトップが、どうも「プロフ」のようだ。「学校裏サイト」も問題の1つであるが、そもそも「学校裏サイト」というサイトがあるわけではない。個人ブログのコメント欄や掲示板が、「裏化」するものである。プロフにも掲示板機能があるので、そこもまた「裏化」する可能性がある。裏サイトは、とらえどころのないもっと広汎な問題だ。

 一方で「プロフ」を問題視する声は、比較的単純なように見える。多くは「プロフを使わせるな」というゴールが見えているからだ。

 今携帯で利用できるプロフサービスは、プロフの代名詞となった楽天の「前略プロフィール」を筆頭に、「Chip!!プロフ」、「ヤッピープロフ」、「チェキ!プロフィール」、「My・ぷろふぃーる」、「拝啓プロフィール」、「プチプロフ」など数多く存在する。「前略プロフィール」の成功を見て、昨年頃から参入が相次いだ。

 しかし、本当に「プロフ」というサービスそのものが問題なのだろうか。およそPCユーザーには縁のないこのプロフが、なぜ中高生を引きつけるのか、そして本当に問題視すべきはどこなのかを、整理してみたい。

プロフィールを交換する意味

 プロフとはそもそも、自分のプロフィールを公開するサービスとしてスタートした。プロフィールとはすなわち、アイデンティティである。自分の属性を示すということであり、そこには個人情報も当然含まれるだろう。

 大人の世界でも、ビジネスで合う人と名刺交換をするということが当たり前に行なわれているわけだが、あれも一種のプロフィール交換である。相手の役職を確認することはもちろんのこと、職種としてのカテゴリ、専門分野などが確認できる。単に連絡先を教え合うだけのことではない。

 しかし「一種の」と書いたとおり、そこにはパーソナルな情報の要素は薄い。名刺にいちいち好きな食べ物や好きなタレントを書いている人は、相当特殊であると言えよう。要するに名刺交換は社会人としての属性を伝えているわけであり、個人的に仲良くなれるかどうかは別問題なのである。

 プロフの場合は、ビジネスとしての付き合いよりも、いち個人同士の付き合いのために存在する。最大手である「前略プロフィール」では、次のような入力項目がある。

「前略プロフィール」入力項目
HN HNの由来 性別 誕生日 星座
血液型 前世 住んでいるところ 生まれたところ 職業
学年 絡むーちょ 似ている芸能人 身長 体重
足のサイズ 手の長さ 趣味 特技 握力
髪型 口癖 性格 嗜好品 自慢なこと
持っている資格 使っている携帯電話 好きな男性のタイプ 好きな女性のタイプ 好きな言葉
好きな芸能人 好きな食べ物 嫌いな食べ物 好きな飲み物 嫌いな飲み物
好きな教科 嫌いな教科 好きなテレビ番組 好きな映画 好きな本
好きなスポーツ 好きな音楽 好きなブランド 愛用の香水 好きな花
好きなゲーム 愛車 将来の夢 好きな動物 休日の過ごし方
尊敬する人 今一番欲しいもの 今一番行きたいところ 今一番やりたいこと よく使う路線
よく遊ぶところ カラオケでよく歌う曲 初めて買ったCD マイブーム 最近ひそかに興味があること
生まれ変わったら 世界平和に必要なのは 兎に角主張したい事 疑問に思っている事 ここだけの話

 登録時に入力が必要なのはHN(ハンドルネーム)だけで、あとの項目は任意で入力する。未入力の項目は表示されない。多くの項目は話のタネになりそうな他愛(たあい)のないもので、ダイレクトにアイデンティティが特定できそうなものは、誕生日、住んでいるところ、職業、学年ぐらいだろうか。このあたりを妙に詳しく書いてしまうと第三者から個人が特定できてしまうが、ある程度は書かないと自己紹介にならない。そのあたりのさじ加減が中高生にできるかどうかが、微妙なところだ。

 なかにはHNの中に今週のスケジュールを書き込む子もいる。そういうところから自爆する可能性は高い。そのほか、顔写真を貼り付けたり、別のサイトへのリンクを張ることができる。入力情報だけでなく、そのあたりからも個人特定される可能性もあるだろう。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.