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製品化が近づくシャープ「ICC LED TV」、他社の4K戦略との違いIFA 2012(1/3 ページ)

» 2012年09月05日 20時08分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 昨年の「IFA 2011」でクローズドなデモコーナーが設けられ、10月の「CEATEC JAPAN 2011」で初の一般公開となったシャープの次世代4Kテレビ「ICC LED-4K」だが、いよいよ製品の発売時期が近付いてきたこともあり、「IFA 2012」でも目玉技術の1つとして注目を集めた。今回、ICCを開発したアイキューブド(I3)研究所代表取締役の近藤哲二郎氏にデモを紹介いただく機会を得たので、同社ブースの概要と合わせてリポートしよう。

創立百周年を前面アピールしたシャープブースの入り口では、過去の開発実績を紹介するデモ映像が流れる(左)。アイキューブド(I3)研究所代表取締役の近藤哲二郎氏(右)

「4K」ではなく、あくまで「ICCを搭載したTV」

 ICCは、「Integrated Cognitive Creation:統合脳内クリエーション」という造語の頭文字をとったもの。詳細については昨年のIFAリポートを参照いただければと思うが(→関連記事)、今回は製品化を前にさらに改良が加えられた。

 簡単に説明すると、ICCはテクスチャーマッピング技術の一種であり、映像をカメラ撮影する過程で失われた情報をパターンマッチングで補完し、出力時に美麗な映像として再現する。その特性上、4Kで撮影した映像ソースを補完することも可能だが、現状でフルHDの映像ソースが主力ということもあり、ICC LED-4Kでは主にフルHDから4Kへのアップコンバートの中で利用されることになる。

 デモルームでは同じフルHDのソースを片側はそのままフルHDのTVで、もう片方はICC技術を使った4K TVで同時に映し、その画質を比較していた。去年まではどちらかといえば派手な壁紙や人物、ガラスや陶器などの反射が多い物体、そして風で散る桜など、違いが非常に大きく出やすい動画が中心だったが、今回は動きが少なく、より自然な風景映像が中心となっており、細かいチューニングによる画作りが行われていることがうかがえた。

デモルームの機材の解説。フルHDソースの映像を入力し、同じサイズの液晶TVで左がフルHD(1920×1080ピクセル)のもの、右がICC技術を導入した4K(3840×2160ピクセル)のものを並べて比較する(左)。実際にICC LED-4Kが市場投入される際の製品デザイン。ほぼ最終版にあたるという。スタンド部分がT字構造でしっかりと重厚感あるデザインになっている(右)

木の上に上ってエサをとるサルを収録した動画でまずは比較。フォーカスは中央のサルに合っており、撮影機材のレンズの特性からそれ以外の部分は“ぼけた”状態になっている。また枝や葉など、複雑に絡み合った部分はつぶれてしまい、立体感が失われている

フルHDとICC 4Kでサル以外の部分の映像を比較。カメラのレンズを通しているので厳密なものではないが、フルHDでは細部が潰れて“のっぺり”している絵でも、ICC 4Kでは再現されて立体感が出てきており、前後関係が把握できる

 例えば、違いが顕著だったのは山小屋の映像。本来であればフォーカス外でディテールの多くが失われる背景の山や周辺の木々、手前の草花について、ICCを通すことにより細かく立体感が再現されることになる。周辺には弱い風が吹いており、そのたびに草木が揺れることになるが、「こうした小さな風の流れさえも感じ取れるのがICCの強みだ」と近藤氏は話す。

山小屋の動画を比較。近藤氏によれば、今後4Kでのアップスケーリング技術は各社から提供されることになり、この手の絵ではフォーカスの合う山小屋部分のディテールを再現することは他社製品でも一様に対応してくるが、それ以外の部分(背景の山や画面左右の木々、手間の草など)まで再現するのはICCならではという

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