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» 2012年12月28日 15時40分 UPDATE

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:今年もやります! 2012年版、麻倉怜士の「デジタルトップ10」(後編) (1/3)

年に一度の総決算――AV評論家・麻倉怜士氏が1年間を振り返り、とくに印象に残ったものや優れたデバイスをランキング形式で紹介する「デジタルトップ10」。後半は第6位からカウントダウン!

[芹澤隆徳,ITmedia]

 AV評論家・麻倉怜士氏が1年を通じて、とくに印象に残ったものや優れたデバイスをランキング形式で紹介する「デジタルトップ10」。後半は第6位からカウントダウン!

第6位、ELAC(エラック)の「400LINE」

麻倉氏:第6位は、独ELAC(エラック)が新たにリリースした「400LINE」です。400LINEの注目点は、同社の代名詞といえるJETツィーターが新設計の「JET V」に代わったこと。音は本当に素晴らしいです。

ts_elac01.jpgts_elac02.jpg 「400LINE」は、トールボーイタイプの「FS407」(ペア48万3000円)とブックシェルフの「BS403」(ペア25万2000円)をラインアップ

――JETツィーターは、どういうものでしょう

麻倉氏:ジェットツィーターは、一般的に「ハイルドライバー」(Heil Driver)と呼ばれるものです。ドイツの物理学者、オスカー・ハイル博士が発明したスピーカーユニットで、通常の振動版が前後方向に振幅するのに対し、ハイルドライバーでは波状のプリーツが直線的に膨張し、空気を圧縮して音波を出します。まるでアコーディオンの蛇腹のように、圧縮された空気がスゴイ勢いで出てくるので“JET”ツィーター。圧倒的な立ち上がり、立ち下がりの速さが特長です。量産が難しいとされていましたが、それに成功したのがエラック。さらにJETツィーターの速さに見合うウーファーも合わせて作ったところが素晴らしいです。

 400LINEに話を戻しましょう。以前からエラックの音は密度が高く、音色の微細な違いも出るため人気は高いのですが、400LINEでさらに磨かれました。一言でいえば、自然でしなやかで、柔らかい音。しかし、よく聴くと芯があり重厚です。これまでの方向性を維持したまま、レベルを一段上げた印象でした。

ts_kefls50.jpg KEFの「LS50」

 今年のスピーカーシーンでは、英KEFの創業50周年記念モデル「LS50」も良かったですね。KEFは、英BBCとニアフィールドモニターを作り上げたことで知られていますが、今回のLS50も同軸2Way方式を採用したニアフィールドモニタースピーカーです。音質面では、音につやっぽさと伸びやかさ、スピード感があって素晴らしい。

 50周年記念モデルなどというと、日本のメーカーならお金をかけて高級な製品を作るところですが、KEFは「皆に使ってもらいたい」として、「Uni-Qドライバーアレー」などの特許技術、最新技術を惜しげもなく投入しながら、2本で11万円(税込み11万5500円)という価格で発売したのです。1年間の限定販売なので、欲しい方は早めに購入したほうが良いでしょう。

 JBLの新しい“EVEREST”(DD67000/DD65000)も良かったのですが、ランクインとしては40万円という価格で高い表現力を持つ「400LINE」を選びました。微細で密度感の高い音が、より高品位に、楽しめるようになったことが評価のポイントです。

第5位、ソニー「BDZ-EX3000」

麻倉氏:第5位は、11月の“4K最新事情”で取り上げたソニーのハイエンドBlu-ray Discレコーダー「BDZ-EX3000」です。今年のハイエンドBDレコーダーはそれぞれに特長があり、例えばパナソニックの「DMR-BZT9300」は192kHz/24bit対応やバランス出力など、オーディオ的な言語性を持っています。一方のソニーは、4K出力におけるイコライジング機能が素晴らしい。これが評価のポイントです。

ts_sony4k014.jpgts_kukkiri05.jpg 「BDZ-EX3000」と画質調整画面。「くっきり」は輪郭と精細感を高域と中域でそれぞれ調整できる

 BDZ-EX3000は、「CREAS Pro」による独自の超解像技術を持っていますが、すごいところは超解像の効き方を“下げられる”こと。例えば、くっきり見せたいからといって超解像をがんがんかけると、中域の精細感が上がって情報量は増えるのですが、全体が“ぼてっ”とした画調になることがあります。高域がすっと伸びて、ディティールが出るようにするため、BDZ-EX3000では、まず出力先が2Kなのか、4Kなのかを設定します。さらに精細度と輪郭を独立して調整できるようにしました。もともと強い輪郭を持っているコンテンツでは、弱めることもできます。

 例えば、ワーナーのBD「雨に唄えば」は、4Kマスタリングなのに画が若干甘いのですが、中域の精細感を6くらいまでに上げると実に良い結果が得られました。しっかりした造形感出てきて、見やすい画調になるのです。一方、今年のDEG大賞をとったBD「山猫」では、高域の輪郭を下げたほうがすっきり見られることが分かりました。これが何を意味するのかというと、BDZ-EX3000は設定がすべて手動なので面倒ですが、そのぶん細やかな調整が可能で、ユーザーの好みを反映させることが可能ということです。それは映像マスタリングといってもいいでしょう。今後は、一度調整したものはメモリーしていくとか、そうした仕掛けがあると非常に使いやすくなると思います。

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