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「TripleFi 10」とはキャラが違う? クアッドBA搭載の新フラグシップ「UE900」野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)

» 2013年03月22日 22時25分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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「TripleFi 10」とはキャラが違う

 さて、肝心のサウンドはいかがなものだろう。一聴して驚いたのは、「TripleFi 10」とは大きくキャラクターが異なっていることだ。はつらつとしてキレの良い、パワー感のある音色傾向だった「TripleFi 10」に対し、「UE900」は解像度の高さやニュアンス表現のていねいさが際立っている。空間表現もだいぶ異なっていて、音が大きく、それでいて自然に広がっていく印象だ。そう、キレの良さは相変わらずだが、クラスがステップアップしたかのような、上質でジェントルなサウンドを聴かせてくれるのだ。

付属のハードケースはおしゃれ。変換プラグのほか、ワンペアの予備イヤーチップが入るため、なかなか便利に使えそうだ。なお、イヤーピースは26dBカットの遮音性を誇るシリコンチップ製が5種類、コンフォームが3種類付属する

 例えばアコースティックギターなどは、カッティングの力強さが手に取るように分かるうえ、胴なりの響きがとても心地よく感じられる。とはいえ、けっして付帯音が多いわけではなく、あくまでも本来の音色そのままで、楽器の持つ響きの美しさにフォーカスを当てているといったイメージ。タムやスネアなどは、かなりの生々しさだ。また、高域の倍音成分のそろいが良いのだろう、女性ボーカルもリアルな音色で、かつのびのびとした歌声を楽しませてくれる。ことリアリティーに関しては、かなりのレベルといえる。このあたりは、カスタムイヤーモニターをも手がけるUltimate Earsの面目躍如、といったところだろう。

 一方で、わずかに気になったところもあった。ハードロックなどを聴くと、ややインパクトに欠けるきらいがあるのだ。低域の解像度感はかなり高いし、ボリュームも必要十分に確保されているのだが、いまひとつグルーブ感に欠けるような気がする。このあたりは、「TripleFi 10」が最も得意としている部分だったので、筆者が意識しすぎているのかもしれない。単にエージングが足りない可能性もある(もし今後大きく音が変わるようであれば追加でリポートしたい)。いずれにしろ、音質に関してはかなり上質なレベル。リアルな音色傾向も含め、なかなかに魅力的なサウンドといえるだろう。

音質評価 UE900
解像度感 (粗い−−−○−きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−−−○ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−○−フラット)
音色傾向 (迫力重視−−−○−質感重視)
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