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ヘッドフォンに出力インピーダンスを合わせる――東和電子からヘッドフォンアンプ内蔵DAC「NANO-D1」が登場「NANOCOMPO」第3弾

» 2013年06月27日 13時46分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 “Olasonic”(オラソニック)ブランドの東和電子は6月27日、小型オーディオコンポーネント「NANOCOMPO」(ナノコンポ)の第3弾となるヘッドフォンアンプ内蔵DAC「NANO-D1」を発表した。7月下旬に7万3500円で発売する予定だ。

ヘッドフォンアンプ内蔵DAC「NANO-D1」

 最大192kHz/24bitのPCM系ハイレゾ音源に対応する据え置き型USB-DAC。ヘッドフォンアンプを内蔵し、手持ちのヘッドフォンやPCと組み合わせればシンプルなPCオーディオシステムができあがる。また同社は、年末に向けてパワーアンプの「NANO-A1」をラインアップする予定で、その際にNANO-D1はプリアンプとして活用できる。

 東和電子の山本喜則社長によると、「基本設計は、先に登場したNANO-UA1の技術をさらにブラッシュアップしたもの。電源周りには大容量の電解コンデンサーを使い、アナログ回路にはプラス・マイナス2電源方式を採用してエネルギー感あふれるサウンドを生み出す」という。音質の要となるDACデバイスには、Barr-Brown(TI)の「PCM1792」を採用。IV変換回路とヘッドフォンアンプ部にはBarr-Brownの「OPA2132」を用い、低域を充実させるために出力段はダイレクト出力とした。

パールを多く含むホワイトのボディー、赤い背面端子板はシリーズ共通の仕様。入力はUSB、光、同軸の3系統となっている

 入力端子は、USBのほかに光デジタル、同軸デジタルの3系統を用意。すべての入力端子が最大192kHz/24bitに対応するほか、非ハイレゾ音源でも192kHz/24bitにアップサンプリングして処理を行う。このためBurr-Brownのアシンクロナス・レート・コンバーター「SRC-4392」およびクロック生成のために温度補償水晶発振器(TCXO)を備えた。一方の出力はアナログRCAとヘッドフォンだ。

 ユニークなのは、USB入力に「96kHz/24bit」と「192kHz/24bit」という2つのモードがあり、フロントパネルの入力セレクターで切り替える仕組みになっていることだ。「96kHz/24bit」モードにすると、Windows環境でも専用ドライバーなしで利用できる。前回の「NANO-UA1」で「ドライバー不要」が好評だったために設けたという。

USB入力に「96kHz/24bit」と「192kHz/24bit」があり、セレクターで切り替える(左)。入力信号のサンプリング周波数を表示(右)

 一方、「192kHz/24bit」モードは同社サイトで公開されるドライバーを導入する必要はあるものの(対応OSはWindows XP以降、Mac OSは192kHz/24bitもドライバー不要)、入力信号が96kHz/24bitでも192kHz/24bitでも自動判別して再生される。一般的な192kHz/24bit対応機と同じと考えていい。

 もう1つの特長は、ヘッドフォンに合わせて最適なドライブが行える「ヘッドフォンインピーダンスセレクター」だ。一般に販売されているヘッドフォンは、インピーダンスが8〜300オームと幅広く、「特定のヘッドフォンに合わせてチューニングを行っても、別の別のヘッドフォンを持ってくるとダメだったりする」(山本氏)。このため、NANO-A1の背面には100オームを境に「HIGH」と「LOW」でヘッドフォンのインピーダンスを選択するスイッチを設けた。

縦置き用の木製スタンドはオプション設定だが期間限定でプレゼントされる(左)。インピーダンスセレクター(右)

 同様のスイッチは他社製品にもあるが、「いわゆるゲインコントロールは音量を一定にすることが目的で、アンプの増幅率を変えるだけ。NANO-D1の場合は、音質を目的としてアンプの出力インピーダンスを変更する。ヘッドフォンとのマッチングを図る仕組みだ」(同氏)と話している。

 NANO-D1の本体サイズは、149(幅)×22(高さ)×149(奥行き)ミリ。重量は890グラム。ACアダプターやUSBケーブル、3.5ミリステレオミニと6.3ミリステレオ標準の変換プラグなどが付属する。

 なお、山本社長によると「NANOCOMPO」シリーズにネットワークプレーヤーを追加することを検討しているという。「DLNA 1.5に特化したシンプルなプレーヤーを考えている。年末を目標にしたいが、東和電子の流儀は“良いものができたらリリース”。詳細は音が出始めてから公表する」と話している。

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