今回の「2014 International CES」でテレビメーカー各社の展示を振り返ると、新しいトレンドが見えてくる。例えば、ユニークでニッチな製品や技術も含めて新しい方向性を模索しつつあるソニー、利益率を重視して高画質志向とB to B関連のソリューションを強化しつつあるパナソニックや東芝といった具合に、日系メーカーは従来までのテレビ販売競争からは別の軸へとシフトしてしまった印象だ。一方、製品のバリエーションを増やし、ひたすら従来路線を突き進んでいるのが、中国や韓国のメーカーたち。今回は、これらテレビメーカー各社が繰り広げる技術トレンドを少し俯瞰(ふかん)していきたい。
今回、筆者がソニーと並んで最も興味をひかれたブースは、韓国LG Electronicsだ。展示構成を一言でいえば、“あらゆる方向性をカバーした全方位型”で、小粒ながらもいくつか光る展示が見受けられた。とくにユーザーインタフェースの部分では“突き抜けた”という印象さえある。
ブース全体を見渡してまず気付くのは「4K」というキーワードがあちこちで見受けられたことだ。去年までであれば「Ultra HD」だったのが、今年は「4K」が中心になっている。同社ブース入り口では、昨年までと同様に巨大な3Dスクリーンが鎮座して来場者の目を楽しませているのだが、今回はそこに4Kが加わり、高精細化が1つの方向性になったことがうかがえる。
展示では21:9のシネスコサイズの105V型の曲面4Kテレビが目立っていた。横長の画角のほうがパネルの曲率が際立つとともに、曲面パネルのメリットである“映像との等距離”がより効果的になる。このほか、曲面有機ELテレビの展示も行われており、これまでの55V型に加え、さらに大画面のバリエーションが加えられた。ただし、曲面とはいっても側面から見ないと目立たない程度の曲率ではある。
また、これら技術の応用で4Kパネルを使った3D表示のサイネージ、先ほどのシネスコサイズのパネルを組み合わせた巨大サイネージ、ほぼベゼル(フレーム)の存在しないパネルをつなぎ合わせたサイネージ、正方形パネルなどが展示されていた。LG自身がパネルメーカーならではの特色を生かした技術展示といえるだろう。
だが、LGに関して最も特筆すべきなのはwebOS採用テレビだ。Hewlett-Packard(HP)からwebOSに関する資産を買収して1年ほどが経過し、その最初の成果として公開されたもの。感想としては「非常にスムーズで直感的」なユーザーインタフェースへと進化しており、従来のポインター式コントローラーを使ってもストレスなく画面やコンテンツを操作できた。
もともと筆者はLGのポインター式コントローラーは誤操作も多く、目的のメニューが分かりにくいという点で否定的だったのだが、webOS導入でユーザーインタフェースが刷新されたことで、これほど変わるのかと非常に感心した。現在はまだ開発段階だが、パナソニックもFirefox OSを導入することになり、今後は“スマートテレビ”も面白くなるのではないかと今から期待している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR