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あなたの“My First Sony”があるかも――歴代ソニーデザインを集めた展示会おっさんホイホイ in 銀座(1/2 ページ)

» 2015年04月28日 22時44分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]
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 ソニーのデザインを象徴する歴代の製品を写真とともに展示する「Sony Design: MAKING MODERN 〜原型づくりへの挑戦〜」が東京・銀座のソニービルで4月29日から開催される。1960年代以降の懐かしいソニー製品21機種の実機に加え、新たに撮影した多数の写真で、ソニーのデザインフィロソフィーに触れられる展示会だ。

会場はソニービル8階のOPUS

2003年の“AIBO”「ERS-7」と二足歩行ロボットの“QRIO”「SDR-4X II」。QRIOはクレイモックも一緒に展示されている

 この展示会は、洋書「Sony Design: MAKING MODERN」(Rizzoli International Publication刊)の発売を記念したもの。同書はソニーのデザイン室が設立50周年を迎えた2011年に企画され、4年かけて完成にこぎつけたという。4月末に米国で発売予定。今のところ日本語版は予定していない。

「Sony Design: MAKING MODERN」に掲載されている写真も多数展示。歴史がテーマでも当時の写真は使用せず、現存する貴重な製品を集めて新規に撮影することで、「製品に正対した形の一貫した見え方にした」という

プロフェッショナリズムを楽しむデザイン

 前日に行われた内覧会では、ソニー クリエイティブセンターの長谷川豊センター長やプロダクトデザイナーでデザイン会社OeOのクリエイティブディレクターを務めるThomas Lykke(トーマス・リュッケ)氏らによるトークセッションが行われた。

ソニー クリエイティブセンターの長谷川豊センター長(左)とプロダクトデザイナーでデザイン会社OeOのクリエイティブディレクターを務めるThomas Lykke(トーマス・リュッケ)氏(右)

 2人は“お気に入りのソニーデザイン”をそれぞれ挙げた。長谷川氏が選んだのは、1970年代に人気を集めた“BCL”(Broadcast Listening)ラジオの「スカイセンサー5800」だ。スカイセンサーシリーズは、短波チューニングの微調整ダイヤルを前面に大きく配置するなど、プロ用機器を思わせる本物志向のデザインが特徴。長谷川氏は、「プロフェッショナリズムをいかに一般ユーザーに楽しんでもらうか。(ソニーは)プロと一般ユーザーのつながりを作った」と指摘する。「細かい所の使い勝手やコックピットをイメージした取扱説明書など、今でいうUX(ユーザーエクスペリエンス)を体感させるデザインになっている」。

長谷川氏が手に持っているのが「スカイセンサー5800」。1970年代は海外の短波ラジオ放送などを楽しむ“BCL”(Broadcast Listening)がブームとなり、ソニーの“スカイセンサー”シリーズも人気を集めた

取扱説明書は「コックピットをイメージしたもの」(長谷川氏)

展示会場には「スカイセンサー5900」(ICF-5900)が並ぶ。1975年発売

 一方のリュッケ氏は、1983年に発売された「スポーツウォークマン」を挙げた。アウトドアやスポーツユースに向けてデザインされた初めての防水仕様ウォークマンで、従来のオーディオ機器にはなかった派手なイエローボディーが印象的。またバックルとパッキンの造形で堅牢さを表し、操作ボタンは手袋をしたままでも操作できる大きさと配置になっている。

入社1年目のデザイナーが提案したという「スポーツウォークマン」(WM-F5)。アメリカ西海岸をイメージしてデザインされているが、デザイナー自身は海外に行ったことがなく、雑誌をめくりながらイメージをふくらませたという涙をさそうエピソードも紹介されている

 12歳の時にスポーツウォークマンを購入したというリュッケ氏は、「いつでもステレオを体験できる柔軟性の高い製品だった」と話す。さらに「ソニーのデザインには、ソニーならではのキャラクターがある」と指摘。「ソニーはテクノロジーカンパニーだが、プロダクトとデザインにヒューマンな部分を残しながら作っている。エモーショナルな部分がソニーデザインの魅力だ」(リュッケ氏)。

 これに対して長谷川氏は、「ヒューマニティといった部分を意識することはないが、製品に対しては思い入れがある。タテヨコの定義(=画一的な製品設計)だけで作ってはいない。それがヒューマニティーにつながるのではないか」と話していた。

懐かしいアイテムの数々をご覧あれ

1976年に発売されたFM/AMラジオ「ICF-7500」。チューナー部とスピーカー部が分離するポータブルラジオだ。上部のソニーロゴは、アルミ板を背面からプレスし、上面をダイヤカットする新しい加工法で作られた。その後、ソニーロゴの仕上げ方法として主流になったという

1980年、テレビの概念を大きく変えた初代「プロフィール」(KX-20HF1)。チューナーやスピーカーは搭載しない“トリニトロンカラーモニター”だった

両側面に2つのネジ。ここにオプションのスピーカーを取り付けることができた。アンプはテレビ側に内蔵している

同じく1980年に登場した4インチカラーテレビ「MICRO TRINITRON COLOR MONITOR」(KV-4P1)。モニター部が可動して見やすい角度にすることができる。

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