連載
» 2015年08月27日 18時20分 UPDATE

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:日本でも視聴できる!――映画の街で見つけた最新4Kコンテンツの感動ポイント (1/5)

仏カンヌで開催された「miptv」で、麻倉怜士氏は感動的な4Kコンテンツをいくつも発見した。欧州の最新4K事情とともに、日本でも視聴できる4Kコンテンツを紹介してもらった。

[天野透,ITmedia]

 国際映画祭で知られる南仏のリゾート地、カンヌで毎年春に「miptv」という、テレビ番組の大商談会が開催されている。最先端の映像エンターテイメントを求めて世界中のプロダクションや放送局が一堂に会するこのイベントで、“自他ともに認める4Kスペシャリスト”のAV評論家・麻倉怜士氏が見つけた選りすぐりの最新4Kコンテンツを紹介してもらおう。

ts_miptv01.jpg miptv 4Kカンファレンスの会場となったカンヌ・コンベンションセンター

麻倉氏:「miptv」は、映画祭で有名なフランス南部のカンヌで4月中旬に開かれる、テレビ番組の交換見本市です。ここではソニーが4Kカンファレンスをここ3年ほどプロデュースしており、4Kコンテンツ作りに関する非常に濃い情報が出てきます。今年の“miptv 4Kカンファレンス”で発表されたコンテンツを私の出演する番組が取り上げたので、今回はそれを報告したいと思います。

ts_miptv02.jpg 4Kカンファレンスの様子。左は司会のクリス・フォレスター氏(イギリスのCEジャーナリスト)

 まずヨーロッパの4K事情ですが、最近はかなりの勢いで4Kテレビが売れ始めています。昨年の実績はイギリスで昨年20万台、フランスで19.7万台、ドイツ21.1万台というものだったのですが、これが今年1月になるとイギリス71万台、フランス64万台、ドイツ52万台という売り上げを記録ました。あまりに売れ過ぎたために2月には在庫が切れてしまい、イギリス29万台、フランス36万台、ドイツ36万台となっています。

――去年後半から今年にかけて3倍のペースで伸びたということになりますね

麻倉氏: 4K放送も衛星放送を中心に企画されています。大手衛星放送局のSKYでは、ドイツ、イギリス、イタリアの各国で今年中に4K放送を始める計画とみられ、フランスはカナルプラス、ロシアではNTVプラスとトライユーロといった放送局がそれぞれ4K放送を検討しています。

 このように、欧州ではハードとソフトが足並みをそろえ、予想以上の動きをしているという状況です。こうなってくると映像制作の人達も「4Kを撮ろうか」という気になるでしょう。

ts_miptv03.jpg ヨーロッパではイギリス、ドイツ、フランスを中心に4Kテレビが売れ始めた

――コンテンツ制作は、やはり環境がそろわないと動き出しませんが、環境がそろいだすと加速度的にコンテンツが増えていきますよね

麻倉氏:4Kコンテンツが増えるのは喜ばしいことですが、この次には「作ったコンテンツをどこに売ろうか」となります。取引先としてはまず日本のスカパーの2チャンネルとNex-TVがあります。それに後で述べるNTTぷららやJ:COMなどのOTTが4K配信を実施しています。その他韓国、アメリカ、ヨーロッパで4K衛星放送が準備段階に入っており、こういったところがターゲットになっているわけです。

 環境整備とコンテンツ増加の関係は確実で、昨年もカンヌで会ったスカパーJSATの関係者によると、昨年は10社の事業者が独自の4Kコンテンツ販売をしていたのが、今年は16社に増えたとのことです。miptv内のドキュメンタリージャンルを対象とした「MIPDoc」というデータベースでは、4Kコンテンツが昨年の5作品だったのが、今年は40にタイトルが増えました。制作国も増加傾向にあり、今年はヨーロッパ主要国以外にも、スペイン、フィンランド、中国、南アフリカ、イスラエル、日本、オランダなど多岐にわたっていました。

 コンテンツのジャンルも広がっています。今まではBBCの“ネイチャーもの”が4Kコンテンツの中心でしたが、今年はワイルドライフや旅、ライフスタイル、音楽といったように、多彩な顔ぶれが見られました。

――数もジャンルもこれだけ広がると「いよいよ本格的になってきたぞ」という実感がわいてきます

麻倉氏:フランスのZORNという小さなプロダクションが4Kコンテンツを売っていたので取材してみると。「今後5〜6年の間にテレビは4Kになります。コンテンツ作りはそうなってからでは遅いので、今から備えています」という答えが返ってきました。クリエイター側も4Kに可能性を感じている証拠ですね。

 さて、今年のmiptvでちょっと面白い小話があったのでご披露したいと思います。実はmiptvの少し前から「麻倉怜士の世界の4Kレビュー」という企画が動いていました。制作はTBS VISIONで、スタート時は5番組を予定しているのですが、たまたま買い付け交渉に動いていたTBSサービスの担当者と、カンヌの会場でバッタリ会ったんです。TBSサービスの人は「麻倉怜士」という名前は知っていたみたいですが、当の本人がカンヌに来ているとは知らなかったようです。私もTBSサービスで企画が進んでいることは知っていましたが、担当者が会場に来ているとは思いもよりませんでした。

 向こうでTBSの他の人が「ウチの社員で4Kコンテンツを調査している人がいる」ということで会ってみたら、なんとそれが件の番組の担当者なのでした。

――それはそれは。普段はもっと近い所にいるのに、随分と遠い所で偶然が起きたものですね

麻倉氏:企画自体はmiptvまでに4番組が決まっていて、後1つは4Kカンファレンスの会場で見つけました。この話は後ほどしましょう。

 では実際に、どんなコンテンツが4Kで作られているのかを紹介していきましょう。今の4Kコンテンツのトレンドはズバリ「旅モノ」です。今回、私が注目したのは、インドのムンバイに本拠地を置くトラベルXPがカンファレンスで発表したコンテンツでした。これが、たいへん面白かった。

――インドの映像作品というと、ひたすら踊りまくる映画が頭に浮かびますが、旅番組とはどんなものでしょうか?

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.