世界最大級の家電ショー「IFA 2015」が独ベルリンで9月4日(現地時間)から開催する。前日のプレスデーは、Intelの発表に始まり、PC系メーカーによるモバイル機器へのアプローチが注目されたが、オーディオ&ビジュアルに関してもいくつか興味深い製品が紹介された。
まずパナソニックは、LGディスプレイ製の4K OLEDパネルを用いた有機ELテレビ(TX-65CZ950)をIFAに持ち込んだ。サイズは65インチ。ただし、別途、関係者に聞いたところ日本での発売は予定されていないという。日本向けにはローカルディミング機能を強化したVA液晶パネル採用の上位機種を用意している模様だが、IFAの会場では確認できていない。
詳細なスペックについては不明だが、見たところLG製の4K OLEDテレビで弱点とされる低輝度領域でのノイズが抑えられ、階調性も大きく改善されている。ハリウッド映画の色調整を行うカラリストというエンジニアを起用し、リファレンスクラスの映像品位を実現しているとのことだ。
HDR表示にも対応する。UHD BDで採用される「HDR10」をサポートするほか、今後、放送規格で採用が進むとみられる「HLG」(Hybrid Log-gamma)についても対応可能になっている模様だ。LGの4K OLEDパネルは、ピーク輝度で800nits程度の明るさを出せるようだが、全白表示時には200nits程度にまで落ちる。これはOLEDの技術的な制約で致し方ないのだが、それでも画素ごとに調光できる自発光パネルの優位性は大きく、暗所での表示能力はハイエンドの液晶パネルよりも印象的だ。
「HLG」については、ソニーで詳しい話を聞くことができた。HLGは、1200〜2000nitsまでの広ダイナミックレンジ情報を記録するための技術仕様で、HDR非対応のディスプレイにそのまま映した場合でも、違和感がないよう従来のガンマカーブとHDR情報を記録できるログ(対数)カーブを組み合わせたものだ。
ハリウッド映画のように、あらかじめ作品として作り込む映像向けには前述の「HDR10」という規格があり、これが今後の業界標準になっていくと見られるが、放送用は後処理でのHDRによる画作りが行えない。
HLGは、主に生放送が求められるスポーツ中継や音楽ライブの放送に用いるため、NHKやBBCが最終的な仕様の提案を行っている。ただし、事前に情報はつかんでいたものの、IFAでの展示は見送り。オランダで開催される「IBC」でお披露目されるほか、幕張開催の「InterBEE」などでデモが行われるとのこと。
ソニー製テレビのHDR対応に関しては、年初の「2015 International CES」時点よりもチューニングが進んでおり、違和感を覚えさせずにローカルディミングを大きく動かすという難しい挑戦をしている。
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