Intelは9月2日(現地時間)、独ベルリンのIFA 2015会場においてプレスカンファレンスを開催し(一般公開は現地時間9月4日から)、“Skylake”こと第6世代Coreプロセッサー・ファミリを正式に発表した。
今回発表した第6世代Intel Coreプロセッサのラインアップ。Core Mシリーズが「Core m3」「Core m5」「Core m7」と大幅に拡充しており、低消費電力プロセッサが一気にメインストリームの領域に拡大してきたSkylakeは2015年8月初旬に独ケルンで開催した「Gamescon」で、“K”型番を持つ“Skylake-S”の一部モデルを発表し、8月中旬に米サンフランシスコで開催したIDF 2015で機能的な概要を公開している。IFA 2015ではノートPCやタブレット向けを含むラインアップを正式に発表した。そのプレスカンファレンスでIntelは「プロセッサは過去数年でここまで進化している」という機能やパフォーマンス面を中心にアピールした。
Intelクライアントコンピューティング部門担当ジェネラルマネージャでシニアバイスプレジデントのカーク・スカウゲン氏は、1990年代初期から現在までにおけるPCの歴史を振り返りつつ、2010年ごろの平均的なPCと現在2015年のPCとで、どの程度変化しているかを説明した。時期的にはSandy Bridgeを投入する前のNehalem世代(32ナノメートルプロセスルールのWestmere世代)にあたる。
処理能力と省電力技術の進化はもちろんだが、それ以上にフォームファクタ的な変化が大きい。ノートPCは「Ultrabook」をキーワードに薄型化が進行し、「2 in 1」などのタブレットの比重が高まってきた(現在は5割弱がタブレット型のフォームファクタだという)。さらに当時は当たり前だった光学ドライブは現在ではメインストリームでほとんど採用しなくなり、ストレージはフラッシュメモリの利用が一般的となった。
5年前のクラムシェル型ノートPCと現在の2in1 PCの比較。サイズや重量だけでなく、Thunderbolt 3のような高速インタフェースの搭載やストレージ、内蔵ドライブの違いなど、フォームファクタそのものが大きく変化している最近ではCPUの性能向上を体感できなくなってきたが、“スコア”的にはCPUの処理能力で2.5倍、GPUの処理能力で30倍、バッテリー駆動時間で3倍に増加しているという。GPUの向上が30倍と突出しているが、これは5年間で一般的なPCにおいてもGPUの重要性が増したことを意味している。実際、Intelもプロセッサのダイにおけるグラフィックスコアサイズの比率が年々上昇している。
GPUはゲームやOS、Webブラウザの画面描画のほか、動画再生において大きな役割を果たしている。現在は4K動画のインターネット配信も始まっているが、Skylake世代では4Kの標準コーデックである「HEVC」をハードウェアでサポートしており、再生支援のないディスクリート型GPU(dGPU)と比較してもスムーズな4K動画再生が可能になっている。こうした、4K動画再生や関連処理をノートPCやタブレットのフォームファクタで十分に事項できることをプレスカンファレンスでデモストレーションしていた。
4K GoProを6台組み合わせて360度撮影を可能にした専用カメラで4K動画を撮影し、この映像をポストプロセスでつなぎ合わせて4K動画を再生しながら、タッチスクリーンで画面を動かして動画の360度視が薄型ノートPCで可能な点をアピールPC全体の使い勝手を向上ためには、ハードウェアのほかにソフトウェアの改良も必要になる。スカウゲン氏はMicrosoftとの取り組みもアピールしており、4Kディスプレイを利用した新しいゲームやContinuum(コンティニューム)による2in1 PCにおけるタブレットとクラムシェルのスムーズな切り替え、0.5秒程度での高速Windowsブートが可能な仕組みなど、この5年間で進化したハードウェアとソフトウェアの連携も示した。
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