インタビュー
» 2015年12月08日 06時00分 UPDATE

血圧計にラジオ体操も ゲーセンはシニアの社交場になれるのか (1/2)

平日のゲーセンに集うシニア世代。黙々とメダルゲームで遊ぶその背中が語るものとは。

[村上万純,ITmedia]

 最近、街のゲームセンターがどんどんつぶれている――そう感じることはないだろうか?

 その印象は間違いではない。実際、ゲームセンターの店舗数は年々減少しており、オペレーション売上高も2006年の7029億円をピークに右肩下がりだ(月刊アミューズメント・ジャーナル、2015年5月号)。

 そうした厳しい環境を打開する手段の1つとして、各店舗は数年前からシニア向けサービスを充実させてきた。時間的にも経済的にも余裕があるシニア世代は、非常に魅力的な顧客。今後ますます少子高齢化が進んでいくことを考えると、決して無視できない存在だ。

 11月のとある平日の昼下がり。冬の訪れを感じる寒さに加えて冷たい雨が降る悪天候にもかかわらず、「ハロータイトー 亀有」では10人近い高齢者がメダルゲームに熱中していた。

photo メダルゲームに熱中するシニア世代

ゲーセンでラジオ体操? 血圧計、畳ベンチなども常備

photo 店内中央に血圧計を設置している

 酒井康彰店長は、「当店は場所柄特にシニア世代が多いので、血圧計や畳ベンチ、お茶の無料サービスなども充実させています」と話す。ハロータイトー 亀有は、亀有駅前すぐのショッピングセンターの一角にある。メダルゲーム以外にも、パチンコ、スロットマシーン、クレーンゲーム、キッズ向けゲーム、プリクラなどをラインアップしているが、やはり平日昼間の売上を支えるのはメダルゲームだ。

 「平日の朝と昼はシニア・主婦の固定客でにぎわいます。1996年のオープン当初からその傾向はあり、ここ数年で特別増えたとは思いません。お年寄りはバスを使うので、ロータリーが2つある亀有はアクセスもいい。ショッピングセンターには食品売り場、病院、100円ショップ、家電専門店、インテリアショップ、区民事務所、フィットネスクラブなどがあり、買い物のついでやちょっとした待ち時間にメダルで遊ぶのにちょうどいいみたいで。最近はメディアで取り上げられることが増えて、新聞を読んで片道1時間かけて来たおじいちゃんもいましたね」と説明する。

 郊外ではショッピングセンターに併設された店舗も多く、お年寄りが集まりやすい。「夢中になって5〜6時間くらい遊んで、夕食前に地下で買い物をして帰れるのが便利ですよね。週末は孫と一緒に遊べますし。アクティブで元気なお年寄りが多いなと感じています」と酒井店長は話す。中には孫や知人にプレゼントするためにクレーンゲームに1日2万円ほど使う猛者もいるという。


photo クレーンゲームにハマる高齢者もいるという
photo お茶の無料サービスも亀有店ならでは

 明るくきれいな雰囲気の店舗は、シニアにとって入りやすく居心地のいい空間作りを心がけている。タイトーは4年ほど前から一部店舗で血圧計、畳ベンチ、お茶の無料サービスを提供している他、老眼鏡やひざ掛けの貸し出し、65歳以上がお得にメダルゲームを遊べるシルバーデーの設定など、シニア向けサービスを拡充してきた。店舗によっては店長にサービス介助士の資格取得を推奨する場合もある。愛知県にもシニアが集まる店舗があるらしく、そこでは客からの要望を受けてラジオ体操を実施。昔では考えられない光景が繰り広げられている。

photo 取材中、畳ベンチで休憩している人もいた

 タイトー総務部 広報担当の佐藤直哉氏は「各店舗でそれぞれお客様のニーズを拾い上げているだけで、弊社の方針として特別シニアを狙った施策を実施しているわけではないんです。血圧計も現場の声が本社まで挙がってきたので、全国で提供するに至りました」と説明する。都内でもシニア向けサービスがここまで充実しているのは亀有店のみ。地域や店舗ごとに特徴が全く異なるため、現場レベルでユーザーの声に応えることも多いという。

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