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フィリップスの回転式――“元祖”電動シェーバーはどのように進化したか?滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(2/4 ページ)

» 2015年12月29日 06時00分 公開
[滝田勝紀ITmedia]

1960年代、いよいよ3ヘッドが登場

ボート型×3ヘッドの「Philishave SC 8130」

 1966年、現行製品の原型となる3ヘッドを初めて搭載した「8130」を投入し、フィリップスはドライシェービング市場を席巻する。ボートのような形状からボート型と呼ばれた。

4ヘッドや6ヘッドなどのプロトタイプなども作られた。肌に接する面が広すぎて凹凸への対応性が下がり、採用には至らず
1965年にはトリマー搭載モデルも登場。“自宅で床屋”が実現した

1970年代、テレフォンフック型が登場

テレフォンフック型×3ヘッドの「Philishave HP 1126」

 1975年には、テレフォンフック(受話器)型と呼ばれる「Philishave HP 1126」が登場。3つのフローティングヘッドには90の溝と12枚の刃が搭載されていた。高級感を演出するデザインを意識し、カラーも黒とシルバーに変わった。

1960年代の工場。女性も多く働いていた

1980年代、本格的な技術革新と未来デザインの時代

テクノロジー感満載の未来的デザイン「Philishave ‘Rota 83’ HP 1328」

 1983年に発売された「1328」は、バッテリー残量が分かるLEDインジケーターを初めて搭載した。ヒゲを引っ張り上げて、根元からカットするリフトアンドカットテクノロジーが開発されたのもこの頃だ。

テレフォンフック型ながらもデザイントレンドが大幅変更。ミニマルなルックスから、ボタンの数なども増え、近未来感たっぷりなルックスへ
1980年代には日本にも開発拠点・工場があり、日本市場向けに“メイド・イン・ジャパンモデル”も複数開発されていた

1990年代はユーザー多様性の時代

 1996年、テレフォンフック型ながらラウンドフォルムで3ヘッドの「Philishave HQ 5890」が登場する。肌の凹凸に合わせて、回転ユニットが傾くリフレックスアクション機能を搭載。肌への密着度が高まった。

多くの色から選びたいという男性のニーズも高まり、「5890」にLEDインジケーターが搭載されたカラーモデルなども登場する
1998年、男性もグルーミングを意識し出した時代のトレンドに合わせて、スキンケアで知られるブランド「ニベア」と共同開発した“クールスキン”「Philishave HQ 5620」が登場
クールスキンはウェットシェービングにも対応する機種だった

2000年代、名機“アーキテック”登場

 2007年には3つの回転刃が傾斜して肌に密着する機構を持った「ARCITEC RQ 1095」が登場。充電しながら洗浄できるジェットクリーンシステムも搭載していた。

セントラルドライブ機構を採用した「ARCITEC RQ 1095」

 2014年には現在の最上位モデルである「9000シリーズ」が発売される。回転刃が8方向に動き、どんな部位の肌にも広い面でしっかりと密着するのが特徴だ。

最上位モデル「9000シリーズ」(写真はIFA 2014での展示)

 そして2015年には5方向に自在に動く「ダイナミックフレックスヘッド」や肌へのあたりを軽減する「スキンコンフォートリング」を搭載した「7000シリーズ」が登場。スマートフォン用アプリと連動し、ヒゲ剃りを管理するといった仕組みも提供した。

「スキンコンフォートリング」の拡大図
フィリップスの現行ラインアップ。左から深剃りと肌への優しさが特徴の最上位モデル「9000シリーズ」、ビーズコーティングで肌に優しい標準モデル「7000シリーズ」、早剃りながらも快適な剃り心地を実現したエントリーモデル「5000シリーズ」

 しかし、フィリップスのシェーバーはライバルメーカーの往復式シェーバーとなにが違うのか? 本国オランダでシェーバーのブランディングを指揮するクリエイティブディレクター、イアン・エリソン氏に話を聞いた。

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