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» 2016年01月09日 15時32分 UPDATE

CES 2016:北米中心のサービス事業者から、世界の「NETFLIX」へ――HDR配信は今年後半にスタート (1/2)

米Netflixは、CESの基調講演で新たに130以上の国でサービスを展開すると発表した。また2016年後半に始まるHDR配信は一部コンテンツからスタートする見込み。追加料金は発生せず、4Kコンテンツに対応した「プレミアムプラン」で視聴できる。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 米Netflixが日本でのサービスを2015年9月に開始して早4カ月、以前から海外での評判を聞いていたり、目ざといユーザーは、すでにアカウントを登録してサービスを楽しんでいたりするだろう。今年も米ネバダ州ラスベガスで開催されたCES 2016では、開催初日である1月6日朝の最初の基調講演で米Netflix CEOのReed Hastings氏が登壇し、ビデオストリーミングサービスの現状と同社の今後について講演を行った。CESを象徴する講演のトップバッターであり、ある意味で昨今のデジタルトレンドを牽引しているNetflixから、どのような話が飛び出したのだろうか。Netflix日本法人のGreg Peters社長も登壇したラウンドテープルの内容と合わせてお伝えしよう。

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ts_cesnetflix02.jpg 米Netflix CEOのReed Hastings氏はドラマのテレビシリーズ風の予告編映像でステージに登場

すでに国民的チャネルになりつつあるNetflix

 「動画コンテンツを(インターネット経由で)ストリーミング視聴する」という、いわゆる「ストリーミング・ビデオ・オン・デマンド(Streaming Video On Demand:SVOD)」の潮流を作り出したNetflixだが、現在もなお業界のトップランナーとして君臨し続けている。

ts_cesnetflix03.jpg Netflixのメニュー画面。1つのログインアカウントに最大5つのユーザープロファイルの登録が可能で、それぞれのユーザーに応じたお勧めビデオを表示させることができる

 インターネット関連のサービス事業者であるSandvineが昨年2015年12月に報告したデータによれば、北米における全インターネット・トラフィックの37.1%をNetflixが占めており、25%で2位のFacebookと、17.9%で3位のYouTubeを大きく引き離している。現在、同社は世界で7000万以上のログインアカウントを抱えているが、そのうちの6割近い4000万アカウント(つまり4000万世帯)が米国ベースのもので、それだけユーザーにもインターネット的にも与える影響が大きくなっている。この影響力は年々大きくなっており、最初にSVODサービスをスタートした2007年から9年が経過し、2015年時点で全ユーザーの年間視聴時間の合計が425億時間に達している。425億時間と聞くとすぐには想像できないが、年換算で約485万年、ちょうど人類が地球上に誕生したくらいのタイムスケールだ。

ts_cesnetflix04.jpg ビデオストリーミングサービス開始から現在までの総動画視聴時間の年間推移。なお、直近の3カ月での総視聴合計時間は120億時間に達する(2015年の合計は425億時間)
ts_cesnetflix05.jpg 世界の主な視聴エリアの分布。サービスインしている国や主要都市部が分かる

 前述の数字からも分かるように、現在Netflixの利用は北米に偏っている。比較的早い時期にローンチされた南米や欧州の一部では利用が広がりつつあるが、まだローンチ直後であり、今後のコンテンツ充実が求められる日本などを中心に、ユーザーの拡大余地があるのが現状だ。とはいえ、世界的にも非常に影響力の強いサービスであることには変わりなく、テレビ販売においてはNetflix視聴のためのアプリが標準バンドルされたり、サービスの特徴の1つであるシンプルで目的のコンテンツにアクセスしやすいメニュー画面を一発で呼び出せる「NETFLIX」ボタンがテレビのリモコンに搭載されていたりと、放送のチャンネルと同様に、コンテンツ視聴のための主要経路として認知されつつある。最近では航空会社のVirgin Americaが飛行中の機内でNetflixのSVODサービスを楽しめる仕組みを導入したりと、従来までであればインターネット接続の限られていた環境であっても、サービスにアクセスできる手段が提供されるようになっている。

ts_cesnetflix06.jpg 面倒なメニュー遷移を経ずとも、一発でNetflixのメニューを呼び出せる「NETFLIX」ボタン
ts_cesnetflix07.jpg 米国内線サービスを提供しているVirgin Americaでは、飛行中の機内でNetflixのストリーミングが利用可能なサービスを提供している

 そんなNetflixが昨今力を入れているのが、オリジナルタイトルの数々だ。同社は1997年に創業し、サブスクリプション方式によるDVD宅配サービスで急成長して注目を集めた。折しも、2002〜2004年ごろは米国でDVDプレイヤーが急速に普及し始めたタイミングであり、このトレンドにうまく乗れたことが大きい。当時はパッケージとして市場に流通しているディスクコンテンツを取り扱う形であり、SVOD開始後もしばらくはコンテンツホルダーからライセンス供与を受けての配信が中心だったが、ここ数年は「Only on Netflix」のキャッチなどにみられるようにNetflixオリジナルの独占エピソードの獲得に力を入れており、既存のテレビネットワークに匹敵する人気コンテンツを集めつつある。

ts_cesnetflix08.jpg Netflixは創業から20年近い企業だが、当初はDVDの郵送レンタルサービスで急成長した企業だ
ts_cesnetflix09.jpg 現在では他社からライセンスされたコンテンツだけでなく、自社のオリジナルタイトルを多数ラインアップしており、主力コンテンツとなっている

 なお、Netflixは2016年中にオリジナルコンテンツとして31本の新作・旧作を含むドラマシリーズ、20本以上の長編映画とドキュメンタリー、スタンダップコメディ、30本のキッズ向けシリーズの配信を予定している。これらは世界中で同時に配信がスタートする。

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