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ミクロマンマニアが語る、30年以上“好き”を続けられるワケコレクターのお宅拝見(後編)(1/3 ページ)

» 2016年02月07日 06時00分 公開
[村上万純ITmedia]

 タカラ(当時)が1974年に発売した可動式のアクションフィギュア「ミクロマン」を30年以上集め続ける指田稔さん(@oritech)。前回は、自慢のコレクションやミクロマンの魅力について語ってもらった。

 今回は、玩具コレクターにとって永遠の課題でもある保存方法の他、ネットの登場でコレクター人生にどのような変化があったのか、忙しい中でも好きなことを続けられるモチベーションの秘訣(ひけつ)などを聞いた。(聞き手、ITmedia村上)

指田さん ミクロマンコレクターの指田稔さん
ミクロマン 歴代ミクロマンがずらりと並ぶ

コレクションは劣化との戦い

―― このショーケースに並んだミクロマン、地震とか来たら大変ですよね。保存に関する苦労はありますか。

指田さん 地震はやばいですね。ショーケースの中で玩具がめちゃくちゃになりますから。なるべく倒れないようにスタンドを工夫しています。保存はコレクターの永遠の課題です(笑)。コレクションは劣化との戦いと言っても過言ではないくらい。

―― 劣化させずに長年保存するのは難しいんですか?

指田さん はい、日本は年間温度差が40度以上で湿気もあるのでかなり過酷な環境です。玩具の樹脂は黄変し、収縮してヒビが入りますし、亜鉛合金はボロボロになって自壊します。本当に大事なものは空気を遮断して湿気にさらさない工夫が必要ですね。

 紙のパッケージはカビが生えるので、もし生えてしまったら、丁寧に拭き取って十分に乾燥させた後、ビニールにシリカゲルと一緒に封入します。

パッケージ 劣化しないよう保存には気を使う
保存方法 ビニールでしっかりと密閉

―― いい保存状態を維持するのも大変なんですね。

指田さん 2008年頃、樹脂の再黄変を白く戻すというレトロブライトという化学混合物が海外コレクターの間で話題になったことがあって。これはすごいと日本のコレクター界にも激震が走ったんですけど、日本では劇物扱いだったから似た成分を含む薬剤で代用してたんです。

 コレクターたちが大量に買うから中野の薬局からその薬がなくなったほどで、みんなから「白くなった!」と続々に報告が来たんですけど、1カ月後には「あれ、前より黄ばんだぞ!」って(笑)。そこからは、白くした後にどうやって黄変を防ぐかをみんなで研究しましたね。

―― コレクションは日々の研究の積み重ねなんですね……。

指田さん あと、メンテナンスも年に1度はやります。ミクロマンはおなかにリング状のゴムが入っているので、分解してそのゴムを入れ替えたり、専用ワックスで金属を磨いたり。

ミクロマンの分解 ミクロマンは分解できる。黒いスタンドは、指田さんがミクロマン用に見つけて購入したもの
メンテパーツ メンテナンス用パーツを入手するために保存状態の悪いミクロマンをあえて購入することも

―― 集めた後も、お金や手間がかかるんですねぇ。

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