皆さんは「ミクロマン」をご存じだろうか。
ミクロマンは、1974年にタカラ(当時)が発売した身長十数センチのアクションフィギュア。全身14カ所が可動する精緻な作りと金属パーツが醸す高級感が男児向け玩具としては斬新で、何度もリメイクされた新商品が発売されるなど40年以上愛される商品だ。
40〜50代の読者には、子供の頃夢中になって集めたという人もいるだろう。そんなミクロマンを30年以上集め続けるコレクターが指田稔さん(@oritech)。歴代のミクロマンはもちろん、その前身となる「変身サイボーグシリーズ」などさまざまな玩具をコレクションしている。
そのコレクターぶりは筋金入りで、「東京おもちゃショー」や「大河原邦男展」などのイベントでメーカーにも保管されていないミクロマンコレクションを貸し出したこともあるほど。自室のショーケースにはマニア垂ぜんの歴代ミクロマンがずらりと並び、部屋の中には所狭しと玩具のパッケージが積み重なっている。
これほどまでにミクロマンにのめり込むきっかけは何だったのか。最も高価なフィギュアの値段、コレクションの楽しみや苦労など、ベテランコレクターにあらゆる疑問をぶつけてみた。指田さん秘蔵のミクロマンコレクションもたっぷりと紹介していくのでお楽しみに。インタビューは全2回。
(聞き手:ITmedia村上)
―― (指田さんの自室にて)ミクロマンをはじめ、玩具の数に圧倒されます……。全部で何体くらいあるのでしょうか。
指田さん いやぁ、数えたことがないので分からないです(苦笑)。数、金額ともに4桁はいってないと思うんですが。
―― それは数えるのが怖いですね(笑)。いつからミクロマンを集めてるんですか?
指田さん 初代ミクロマン世代(初代の発売は1974〜1980年頃まで)でリアルタイムでハマってたんですけど、本格的に集め始めたきっかけは、高校のときたまたま友達と行った旅行先の古ぼけたおもちゃ屋ですね。70年代のヴィンテージ玩具の在庫が大量にあって、そのときにやはりかっこいいなと思い直して。
他の玩具もいろいろ集めてるんですけど、体系立てて集めているのはミクロマンですね。
―― (ショーケースを眺めながら)いきなり下世話な話で申し訳ないですが、最も高いものでおいくらくらいするんでしょうか。
指田さん この金メッキの「ゴールドミクロマン」は、「テレビマガジン」という1970年代の子供向け雑誌に似顔絵やお便りが載るともらえたものです。状態がよく、送り状や当時の封筒なんかもあれば15万円くらいかと。当時、テレビマガジンにはミクロマンの広告や漫画が掲載されて盛り上がっていたんですよ。
―― 15万円……。初代ミクロマンとかも希少価値が高そうですね。
指田さん 初代はショーケースに並んでいるもの以外に未開封のものもあるんですけど、1体4〜5万円ほど。ちなみに、ミクロマンは当時の価格で1体450円です。
初期ロットのパッケージはさらにレア。ここに初代パッケージと初期ロットのパッケージがあるんですけど、よく見ると台紙の色やキャッチコピーの有無、STマークなどが微妙に違いますよね?
―― えっ? あー本当ですね。言われてみると、微妙に違います。
指田さん こうやってコレクションをよく観察すると、いろんな発見があるんです。なんで違うんだろう? あ、これは初期ロットなんだなって調べていくと分かるんです。そういう発見は楽しみの1つです。
―― 昔の玩具を掘り起こして、なんだか考古学者みたいですね。
指田さん まさに考古学的に、埋もれた玩具を探したり、これはいつどこでこういう目的で開発されたものだ! って知りたいという欲求があって。なので、今は月1回、国立国会図書館で自分のコレクションで正体不明なものの出自や、その時代の業界事情なんかを調べてます。昔の玩具雑誌を閲覧しながら、あっこれ俺が持ってるやつじゃんって見つけたりして楽しんでます(笑)。
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