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「見たら消す!」「消さない!」戦争に終止符――sMedio DTCP MoveでNASを地デジ番組ライブラリにASUSTOR NAS活用(1/4 ページ)

» 2016年03月08日 14時40分 公開
[瓜生聖ITmedia]

 2011年に地上アナログテレビ放送が停波してそろそろ5年。地デジレコーダーとしてDVD/BD/HDレコーダーなどのデジタル家電、PS3/PS4用の周辺機器であるnasneなどを使っている家庭も多いのではないだろうか。

 大容量HDDの内蔵により、テレビ放送の録画利用方法は以前から大きく変化した。DVD/BDレコーダーにはDVD/BDメディアへの書き出し機能があるとはいえ、録画したテレビ番組は内蔵HDDに貯め込むという使い方が一般的だろう。

 しかし、大容量化が進んでいるとはいえ、記録領域は有限だ。「観終わったものは消しなさい」という親、「まだ観たいから消さないで」という子どもの言い争いはよく見かける構図である(少なくとも筆者の観察した家庭では)。

タイムシフト視聴はチャンネル争いを過去のものとしたが、争いはその場を記憶領域に移し、「観終わった番組は消す派」と「いつか観たくなったときのためにとっておく派」の間で今日も繰り返されている

 地デジレコーダーのことを親はタイムシフト視聴のためのキャッシュとして認識しているのに対し、子どもはライブラリだと思っていることがそのいさかいの原因の1つのようだ。であれば、その認識の齟齬(そご)を解消するためにキャッシュとライブラリを分ける、ということが問題解決の1つとなり得る。長期保管するものは地デジレコーダーから別のメディアサーバに移動させればよい。

 今回はASUSTOR NASをメディアサーバとして、地デジ番組のライブラリ環境を構築する方法を紹介しよう。

地デジの著作権保護技術に

 現在、家庭内ネットワークでメディアサーバといえばDLNAに対応したものが一般的だ。

 DLNA(Digital Living Network Alliance)はデジタルコンテンツを家庭内ネットワーク経由で視聴するための業界団体およびガイドラインで、その目的は各社製品間に互換性を持たせること。DLNA対応であれば、メーカを問わずメディアサーバ(DMS:Digital Media Server)上のデジタルコンテンツをメディアプレーヤー(DMP:Digital Media Player)で再生できる。DMSとDMP両方を兼ね備えた製品も多く、Windows Media Player 11以降もその1つだ。

 しかし、地デジレコーダーに保存した地デジ放送の録画をWindows Media Playerで再生しようとしても、「メディアを開いています」と表示されるだけで再生することができない。地デジ録画番組は家庭内で作成されるデジタルコンテンツの主力であるにも関わらず、日本独自の著作権保護機能のために、世界共通規格のDLNAでは十分にサポートされないコンテンツとなってしまっている。

DLNAの加盟企業は全世界にわたる

Windows Media Player 12から同ネットワーク上にあるnasneのコンテンツ一覧を開いたところ。コンテンツがあることは確認できるものの、再生はできない

 それを解決するのがDTCP-IPだ。DTCP-IP(Digital Transmission Content Protection over IP)は保護されたデジタルコンテンツを家庭内ネットワーク内で伝送するための規格。DTCP-IPに対応した機器同士であれば、地デジ録画番組を機器間でコピーしたり、家庭内ネットワーク経由で視聴したりすることができるようになる。

 海外製品であるASUSTOR NASは標準ではDTCP-IPをサポートしていないものの、「sMedio DTCP Move」をインストールすることでDTCP-IP対応メディアサーバとして利用可能になる。

 sMedio DTCP Moveは全ASUSTOR NASシリーズに対応することが予定されているが、まずは2016年2月5日にAS10/AS31シリーズへの提供が開始された。sMedio DTCP Moveリリース前に購入したAS10/AS31シリーズの場合は製品パッケージに記載されている国内正規代理店に問い合わせれば無償でアクティベーションコードが入手できる。

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