インタビュー
» 2016年03月25日 16時04分 UPDATE

滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」:ダイキンの“薄型”エアコン「UXシリーズ」に宿るデザインの力 (1/3)

ダイキン工業が発表した住宅用マルチエアコンの壁掛型室内機「UXシリーズ」は、滑らかな曲線を描く薄いエアコン。デザイナーにそのコンセプトと技法、そしてこだわりを聞いた。

[滝田勝紀,ITmedia]

 ダイキン工業が発表した住宅用マルチエアコンの壁掛型室内機「UXシリーズ」は、滑らかな曲線を描く美しいエアコンだ。しかも、一見して分かるように、今までの製品よりも明らかに“薄い”。ダイキンヨーロッパと共同でUXシリーズをデザインしたプロダクトデザインチーム「yellow design gmbh」(イエローデザイン)を率いるAlexander Schlag(アレキサンダー・シュラッグ)氏に、詳しい話を聞いた。

ts_daikinux02.jpg 「UXシリーズ」とアレキサンダー・シュラッグ氏。シュラッグ氏は、1999年にダルムシュタット専門大学のインダストリアルデザイン学科を卒業。歴史あるデザインプラクシス・ディーナー社勤務を経てイエローデザイン・フォルツハイム・オフィスに参加。2011年よりyellow design gmbhの代表を務めており、乳幼児用商品から万年筆などの筆記用具、家電製品、ショールームや見本市会場の空間デザインに至るまで、幅広い領域のデザインを手掛ける

 そもそもエアコンという家電は、設置場所による制約でおおよそのサイズが決まってしまい、差別化の難しい製品だ。シュラッグ氏も「エアコンのデザインはすごく難しい」と話す。「UXシリーズにおける一番の挑戦は、技術的に必要な高さを維持しながら、いかに存在感をなくすために薄く見せられるかでした」

「風の流れ」をイメージした「ウェーブデザイン」

 UXシリーズの特徴の1つが、3次曲線を使った「ウェーブデザイン」だ。前面パネルをラウンド(曲面)させ、左右両端を厚さ129mmに抑えることで壁との一体感を演出している。

ts_daikinux03.jpg シルバーのモデル

 「この曲面は、エアコンが止まっている時に美しさを表現します。電源を入れると、まず上部のパネルが持ち上がり、下部のパネルが上方向に移動して上部パネルの裏側に入り込みます。するとフラップ部分が現れます」。非常に複雑な動きをすべて同時に行うが、動きにぎこちなさは見られない。すーっと動き、最後にすべてがゆっくりと閉じる様は、高級オーディオ機器の動き方や高級車の扉のしまり方に通じるものがある。

ts_daikinux06.jpg 上の大きなパネルが前に少しだけずれ、その中に下のパネルが入る。と同時にフラップが動き出す

 「エアコンをオフにすると逆の動きでピタリと閉まります。この動きを実現することが実は非常に難しく、生産技術や成型、設計の力などを結集させる必要がありました。稼働中も送風口以外は閉じています。それは美しさを維持するのに重要であり、同時にモーターの音が聞こえにくいという静粛性にもつながっています。難しい課題、高いハードルを技術者と一緒になって1つ1つ乗り越えたことが、他社製品と一線を画すことにつながったと考えています。ダイキンの最新技術とデザインが融合したからこそ、ウェーブデザインは実現できたのです」

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