ITモバイル、ウェアラブル関連の展示会に足を運ぶと、インターネットやクラウドの技術を活用したネットワークカメラが“IoTの主役”としてハイライトされているのをよく見かける。筆者は“セキュリティ”を目的としたネットワークカメラの人気が、現状では日本国内よりも特に欧米など海外で高いように感じている。
有り難いことに、まだわが家を留守中にも監視しなければならないような出来事には見舞われていないし、遠方に暮らす家族の様子は電話やメールなどで確認できるので、早急に“セキュリティ”や“見守り”用途でネットワークカメラを導入する必要性を感じていない。けれども、一方ではネットワークカメラがこれからのIoT時代に成長が期待されているデバイスであり、上手に使えば生活を豊かなものにしてくれそうであることは肌感覚を通して理解している。
じゃあ、取りあえず体当たりしてみるか!ということで、今回はフランスのNetatmo(ネタトモ)がコンシューマー向け商品として展開している“スマートホームカメラ”「Welcome」を借りて試してみた。
2011年にフランスで創業したNetatmoは、ネットワークやセンシングの技術を活用したハード&ソフトウェアを自社で開発するスマート家電のメーカーだ。同社が最初に開発した「Weather Station」(ウェザーステーション)は、その名の通り“天気”にフォーカスしたコンシューマー向けのスマートデバイスで、インターネットに接続した状態で家庭内に設置しておけば、室内の空気の質をリアルタイムに計ってスマホアプリに飛ばして知らせるというユニークな使い勝手を特徴としている。本機と連動して自宅周辺の雨・風のコンディションを計測できる専用アクセサリーも発売されている。ほかにもiOS機器と連携して屋外の紫外線が測定できる“ウェアラブルジュエリー”「JUNE」など、生活の品質向上にピンポイントで響く、シンプルな付加価値を持つ製品を展開してきた。
“スマートホームカメラ”「Welcome」は、本体をインターネットに接続して、iOS/Android対応のモバイルアプリでカメラが撮影した動画や静止画をモニタリングできるネットワークカメラ的な使い方を基本としながら、独自の人工知能アルゴリズムを組み込んだ顔認識技術を組み合わせた。カメラが撮影した人の顔情報に合わせ、録画の有無を含めた通知のカスタマイズができるところが大きな特徴だ。
ちなみにWelcomeに搭載されている顔認識のアルゴリズムや、スマホアプリも全てNetatmoが自社だけで約1年半の年月をかけて開発してきたものだという。現在同社では10人体制の「人工知能アルゴリズム専門チーム」が組織され、活躍しているそうだ。一般的なネットワークカメラとの差別化要素である顔認識の精度がいかほどのものなのかにも注目しながら、試用レビューをお届けしよう。
その前に、Welcomeのデザインや仕様の特徴について、おおまかに確認しておきたい。
シャンパンゴールドのアルミアルマイト塗装を施した円筒状の本体は、高さ約15cm。直径は約4.5cm。片手で軽々と持てるほどコンパクトなうえ、金色がギラギラしていないので、木目調スピーカーの上などに置いて違和感なくレイアウトできた。
正面側にはフルHD/1080pの動画撮影に対応する4Mピクセルのカメラユニットを内蔵。高感度な赤外線LEDも搭載しているので、真っ暗な室内も鮮明に撮影できるナイトビジョン機能も備える。内蔵マイクもあるため、動画は音声付きで記録される。
電源はUSB給電方式としており、背面にケーブルをつなぐ端子がある。一度宅内に設置したらインターネット接続や動画撮影を常時使いっぱなしにしておく製品なので、内蔵バッテリーを持たない仕様であることは理解ができる。電源はネットワーク接続は有線、または無線のどちらも可能。
専用アプリ「Welcome」はiOS8/Android 4.3以上に対応する。動画や静止画を保存するストレージは本体に装着するmicroSDカードなので、クラウドサーバ等に上がったデータが流出する心配は極めて少ない。同社ではWelcomeとスマホ間でやり取りするデータは独自に高度な暗号化処理をかけているため、セキュリティレベルの高い通信が行えると説明している。
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