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最大432GB&大容量バッテリーを搭載するハイレゾオーディオプレーヤー「OPUS#1」レビュー大艦巨砲主義!(1/2 ページ)

» 2016年06月16日 17時00分 公開
[井上輝一, 矢野渉ITmedia]
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 韓国のThe BITが開発したハイレゾオーディオプレーヤー「OPUS#1」が、去る4月末に行われた「春のヘッドフォン祭2016」に合わせて日本に上陸した。そのOPUS#1をレビューする機会を得たので、その実力を見ていこう。

The BIT「OPUS#1」 The BIT「OPUS#1」

Androidベースのシステムと操作感

 まず大きな特徴の1つは、OSがAndroidベースであるということだ。ここ数年で音楽プレーヤーのOSにAndroidを採用する例が増えてきてはいるが、一方で一度はAndroidを採用したものの、その後の製品では組み込みLinuxに戻してしまったメーカーもある。そういったメーカーに理由を伺うと、「Androidはバッテリーの持ちが良くなかった」「Google Play非対応であることに文句が出る」「組み込みLinuxのほうが開発にノウハウがある」といった声が聞こえた。

 だが、OPUS#1はAndroidを採用しつつもそういったデメリットをうまく克服した製品だといえる。

設定画面にAndroidの面影が見える。画面上部を上からスワイプしても通知などは出てこない 設定画面にAndroidの面影が見える。画面上部を上からスワイプしても通知などは出てこない

 OPUS#1はAndroidベースでありながら、無線機能(モバイル通信、Wi-Fi、Bluetooth)がなく、ホーム画面もホームボタンもない。表示されるのは本当に音楽プレーヤーだけで、音楽プレーヤーに不要な機能は全て省いている。設定画面はあるが、開発者モードにも(試した限りでは)入ることができないので、PCとつないでadbでアプリを手動で流し込むようなこともできない。

オープンソースライセンスを開くとadbが入っていることは分かるが…… オープンソースライセンスを開くとadbが入っていることは分かるが……

 Androidということを念頭に置いてしまうと、ホーム画面やホームボタン、バックボタンがないことで少々操作に戸惑うこともあるが、UI自体の操作は快適だ。プロセッサがクアッドコア、メモリが1GBというのも貢献しているだろうが、リストの上下スクロールや左右フリックなどはスマートフォンと同等レベルの動作感と言っていい。また、再生ボタンや曲送りボタンが側面に物理キーで存在するのでこの点はAndroidより操作性に優れるといえる。

リスト画面リスト画面 Songs、Albums、Artistsなど各カラムはアイコンをクリックする以外に、リストを左右にフリックすることで切り替えることができる。この点は一般的なAndroidと同じ動作感だ
設定画面設定画面設定画面 設定画面ではイコライザーや左右のバランスなど音楽に関する設定の他、再生を自動で止めるスリープ時間や画面の明るさなどが設定できる
右側面には再生/曲送りボタンがある 右側面には再生/曲送りボタンがある

バッテリーもストレージも大容量

 バッテリーは4000mAhと大容量だ。このため、最長で10時間の連続再生を可能としている。今回10時間の連続再生は試さなかったが、実際に自宅との行き帰り(片道1時間強)に使用してみたところ、往復でバッテリーマークの目盛りが1減った程度だった。また、電源ONのまま1週間ほど机の引き出しの中に放置することもあったがバッテリーが切れることはなかった。

 ストレージは内蔵メモリが32GBだが、最大200GBのmicroSDXCカードを2枚まで搭載でき、最大で計432GBという大容量ストレージを実現できる。44.1kHz/16bitのflacファイル1曲で約40MBとすると約1万曲、96kHz/24bitのwavファイル1曲約150MBとしても約2900曲を入れることが可能だ。200GBのmicroSDXCカードは、最近では1万円を切ったモデルも出てきているので、ハイレゾ音源を多く入れるための選択肢としてなしではないだろう。

200GBのmicroSDXCカードを2枚搭載可能 200GBのmicroSDXCカードを2枚搭載可能(左側面)

CS4398×2基でバランス出力対応

 OPUS#1にはDACチップとしてCirrus Logic製の「CS4398」が2基搭載されており、2.5mm 4極プラグによるバランス出力が可能だ。

OPUS#1の上面。3.5mmの一般的なイヤフォンの他、2.5mm 4極のバランスケーブルを接続できる OPUS#1の上面。3.5mmの一般的なイヤフォンの他、2.5mm 4極のバランスケーブルを接続できる
画面右上の設定アイコンを押して「Balanced out」を選択する 画面右上の設定アイコンを押して「Balanced out」を選択する

 バランス出力時には設定から「Balanced out」を選択する。これでKalafinaのハイレゾ版「THE BEST "Blue"」に収録された「sprinter」を聴き比べると、バランス出力時のほうがやや音場が広い感じを受ける。逆に、バランス出力を聴いた後にアンバランス出力(3.5mm)に戻ると低音部分の輪郭がぼやけたように感じる。ただし、今回用いた2.5mmのバランスMMCXケーブルと3.5mmのアンバランスMMCXケーブルは別のメーカーのものであるため、正確な比較とはいえない。あくまで参考程度に留めてもらいたい。

 音量は最大で150まで上げられるが、インピーダンスが20Ω前後のイヤフォンであれば80程度で十分だ。44ΩのShureのヘッドフォン「SRH440」でも100まで使うかどうか、というところ。もっとインピーダンスの高いヘッドフォンでも鳴らせるポテンシャルを持っているといえる。

OPUS#1の主な試聴はShureのSRH440で行った OPUS#1の主な試聴はShureのSRH440で行った

 バランス出力は、MMCX端子でリケーブルできるShureの「SE215SPE」やHCKの「LZ-A3」(ダイナミックドライバー×1、BAドライバー×2のハイブリッドイヤフォン)で試したが、それらよりもアンバランスのモニター系ヘッドフォンSRH440で聴いた方が音場や全体的な解像度は良く感じられた。イヤフォンとヘッドフォンではドライバーもその大きさも違うのだから当たり前なのだが、バランスかアンバランスかにこだわりすぎるよりは、好きなイヤフォン/ヘッドフォンを使うほうが楽しめると個人的には思った。SRH440でバランス接続できないかとも考えたが、ケーブル部分がリケーブル可能な3.5mm 3極のオスオスプラグで、ハウジングを開けて改造しないとどうにもならなさそうなので諦めた。

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