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“完璧”という言葉がふさわしい――無償アップグレードで音を磨いたMrSpeakers「ETHER」シリーズを聴く野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(1/2 ページ)

» 2016年06月29日 17時26分 公開
[野村ケンジITmedia]
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 先日、新進気鋭のヘッドフォンブランドであるMrSpeakersの新製品、「ETHER」シリーズを紹介させてもらった。新設計の「V-Planar振動板」なる平面振動板ユニットをはじめ、3Dプリンターにより成型された音響調整機構やアルミ合金削り出しバッフルなどの採用により、ひずみ感を徹底的に押さえ込んだ良質なサウンドを実現。開放型の「ETHER」、密閉型の「ETHER C」ともに、躍動感に満ちた、それでいて細やかなニュアンスまでしっかりと伝わってくる、表情豊かなサウンドを存分に堪能させてくれた。いちヘッドフォンファンとして、とても魅力的なモデルが誕生したものだと、大いに心揺さぶられたものだ。

MrSpeakersの「ETHER」シリーズ。開放型の「ETHER」(右)、密閉型の「ETHER C」(左)

 そんなETHERシリーズに、早くも“アップグレート”が施されたという。前回試聴したものでも、十分魅力的だったのに、それがどうアップグレードされたのか。個人的にもかなり気になったため、再び製品をお借りすることにした。

 まず、アップグレードの内容について紹介していこう。それぞれ「ETHER 1.1」「ETHER C 1.1」という呼び名となったアップグレード版だが、基本的なパーツ構成はこれまでと全く同じで、サウンドチューニングに関わる部分のみパーツの変更が行われている。具体的には、ドライバー直近にフィルターを追加したり交換したりしているのだが、内容がとてもシンプルなこともあってか、既にオリジナルバージョンを購入した人にも「1.1アップグレードキット」として無償提供してくれるのだという(Webサイトでのユーザー登録が必要)。こういった配慮は、とてもありがたい。

 一方で、ETHERとETHER Cではアップグレードの方法が多少異なっていたり、ETHER Cにはイヤーパッド内に入れることで好みのサウンドに調整できる追加フィルターも2タイプ(片側白1枚、黒2枚の計3枚)用意されているなど、多少なり使いこなしに関わる部分のレクチャーが必要となってきた印象があるため、先にアップグレードの方法を紹介していこう。

 まずはETHERから。こちらはとても簡単。ラムレザー製のイヤーパッドを外すと、振動板の部分が四角く凹んだインナーバッフルが露出するので、その凹んだ部分にスポンジっぽいグレーの“アップグレード”フィルターを入れ込むだけ。フィルターには天地があり、固定ネジの出っ張り具合に合わせて入れ込む必要があるが、ひと目見れば分かるので、それほど苦労はないだろう。イヤーパッドを再び取り付ければ、アップグレードは完成だ。

「ETHER」は、イヤーパッドを外してグレーの“アップグレード”フィルターを入れ込むだけ

 一方、ETHER Cはちょっとだけ“アップグレード”の内容が異なっている。イヤーパッドを外すと、インナーバッフルの凹み部分にはすでに白いフィルターが2重に取り付けられていて、そのうち1枚を外し(奥側の1枚はそのまま)、代わりにグレーの“アップグレード”フィルターを入れ込むことで完成する。こちらも、イヤーパッドを取り付け直せば再び音が聴けるようになる。

「ETHER C」は、白いフィルターの1枚を外し、代わりにグレーの“アップグレード”フィルターを入れ込む

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