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» 2017年02月28日 16時24分 UPDATE

練り上げた4K画質――JVC「DLA-X770R」で実践する“美味しく足す”工夫 (1/2)

JVCのD-ILAプロジェクター新製品「DLA-X770R」を試聴。いっそう画質が練り上げられ、Ultra HD Blu-rayなどのHDRコンテンツを積極的に楽しみたいAVファンの期待に応える製品となった。ただ、より良い画質を得るためには少しばかりの工夫も必要だ。

[山本浩司,ITmedia]

2016年8月に本欄で詳細をお伝えしたJVCのD-ILA (反射型液晶)プロジェクター「DLA-X750R」が、この冬新たに「DLA-X770R」というモデルネームを与えられて、生まれ変わった。

JVCのD-ILAプロジェクター「DLA-X750」

 HDR (ハイダイナミックレンジ)コンテンツ用に画質を追い込んだDLA-X750Rのファームウェアアップデートの出来がきわめて良く、そのインプレッションを昨年夏に記したわけだが、この冬新たに発売された本機DLA-X770Rは、いっそう画質が練り上げられ、Ultra HD Blu-rayなどのHDRコンテンツを積極的に楽しみたいというAVファンや映画マニアの期待に応える製品に仕上がっている。価格はX750Rから据え置きで、90万円(税別)だ。

 JVCからはこの冬、ほぼ同時に「DLA-Z1」というD-ILAプロジェクターが発売されている。X770Rとの最大の違いは、JVC初のリアル4K画素(4096×2160ピクセル)パネルの搭載とレーザー光源の採用。4K解像度と3000ルーメンの明るさを実現した本機の画質はさすがにすばらしく、当代家庭用プロジェクターの最高峰に位置するハイクオリティーモデルであることは間違いないが、価格は350万円(税別)。誰もがおいそれと買える値段ではない。

「DLA-Z1」は新開発の0.69型4Kデバイスとレーザー光源を搭載した新生代モデル。価格は350万円(税別)

 もちろんX770Rの90万円だって決して簡単に買える値段ではないが、100インチ超クラスのスクリーンを張って、暗闇の中で映画に耽溺(たんでき)したいという方にとっては、価格対満足度がきわめて高いプロジェクターと断言していいだろう。それくらいX770Rの画質は魅力的なのである。

 X770Rに採用されたD-ILAパネルはX750Rと同じフルHD(1920×1080ピクセル)タイプで、JVC お得意の「e-shiftテクノロジー」(画素ずらし技術)を用いて、4K相当の解像感を実現している。

 光源はX750Rと同じ165Wの高圧水銀ランプが採用されており、光学エンジンもまったく同じだというが、スペックを見ると、明るさがX750Rの1800lm(ルーメン)から1900lmに、コントラスト比が12万:1から13万:1にと、わずかに向上していることが分かる。JVCの企画担当者によると、これは製造工程の安定化、歩留り、作り込みの向上によって自然に達成できた値だという。

 X770RのHDR対応の詳細について触れておこう。X750Rは、HDR対応ガンマである「ガンマD」をUHD BDで運用されている「HDR10」用に数値を調整して最適化していたが、X770Rでは新たに「オートHDRピクチャーモード」が設けられ、UHD BDのHDR10(ST.2084)と、今後放送系での運用が本格化される予定のHybrid Log-Gammaの両方のカーブが用意されている。

「DLA-X770R」の色域
ガンマデータ調整画面

 X750RのHDR対応ファームウェア・アップデート時に、JVCの開発陣はそれまでに発売されたUHD BDの映画ソフトを徹底的に精査したというが、そのとき得られた知見は、HDR10規格の最大輝度は1万nits(1万カンデラ/平方メートル)に規定されているものの、じっさいにはコンテンツの「輝度レベルの最大値」(Maximum Content Light Level)は1000nits前後でグレーディングされているケースが多く、しかもその場合は「フレーム内平均輝度の最大値」(Maximum Frame Average Light Level)は400nits前後にすぎないということだった。

 X750Rでは、その知見に基づいて「HDRコンテンツ視聴設定」の最大輝度を400nitsに規定することにし、PQカーブ・ベースのガンマDを「ピクチャートーン=12」「明部補正=4」「暗部補正=5」に設定することで「フレーム内平均輝度の最大値」400nits前後のUHD BDにアジャストさせたわけだ。

 X770Rで設定された「オートHDR ピクチャーモード」の「HDR10(ST.2084)」のデフォルト値は、このX750RのHDR対応手法をおおむね踏襲したものと考えてよい。本機の明るさの最大値は先述したように1900lm(ルーメン)。この値をゲイン1の100インチスクリーンに投写した場合を想定してnits換算すると、250nits前後となる。その現実を考えると、最大輝度を400nitsに想定して画質を最適化していくのは、実に合理的な手法といっていいだろう。

 X750Rの画質処理エンジンのキモとなっていたのが、MPC(Multiple Pixel Control)テクノロジー。X770Rの最大の進化点は、このMPCの成熟にある。

 高精細化に寄与するフィルターのバンド数(帯域の区分け数)はX750Rと変わらないが、より高い周波数に重点を置いて画像検出を行うことで、4Kコンテンツ再生時の高解像感とスムーズな階調の推移を実現した。この新解析アルゴリズムは、JVC初のリアル4K画素プロジェクターDLA-Z1に搭載されたアルゴリズムがベースになっているという。

 HDMI入力については、X750R同様最新規格の18Gbps(ギガビット/秒)伝送に対応していて、4K/60p(4:4:4)、4K/60p(4:2:2/36bit)、4K/24p(4:4:4/36bit)などフルスペックの4K映像入力を可能にしている。

 また、X750にはなく、X770Rに初搭載されたのが低遅延モード。本機で倍速処理を行うと7フレーム前後の映像遅延が発生するが、倍速処理を行わないこの低遅延モードを選ぶと2フレーム以下に抑えることができ、タイミングエラーにシビアなゲームなどの操作画面にも対応できるというわけである。

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