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「スマホと2台持ちで最強」――ARが低価格ハイレゾプレーヤー「AR-M200」を投入する理由(1/2 ページ)

» 2017年05月01日 12時35分 公開
[山本敦ITmedia]

 フロンティアファクトリーが輸入販売を取り扱うアメリカのオーディオブランド、Acoustic Resarch(AR)から5万円を切る入門クラスのハイレゾプレーヤー「AR-M200」が登場する。「春のヘッドフォン祭」に試作機が展示されたので、VOXX InternationalのARブランドホーム・ポータブルオーディオ責任者、ERIC SUH氏に各製品の特徴を聞いた。

VOXX InternationalでAcoustic Researchブランドを担当しているERIC SUH氏

 また、今回のイベントではARから初のヘッドフォン「AR-H1」、ハイブリッド型イヤフォン「AR-E10」の試作機もお披露目された。AR-H1は6月に599ドルで、AR-E10は7月に199ドルで発売予定。フロンティアファクトリーでは、ヘッドフォンを7万円以下、イヤフォンは2万円程度に設定したいと話している。

M200はスマホと組み合わせて最強になるハイレゾプレーヤー

 ARは既にAndroid OSを搭載したハイレゾプレーヤー「AR-M2」「AR-M20」を販売しており、AR-M200はそのラインアップに弟機として加わる予定だ。欧米での発売時期は8月の見込みで、予価は399ドル。フロンティアファクトリーの担当者は「日本での販売価格は5万円を切るところに設定したい」と話していた。

入門クラスのハイレゾプレーヤー「AR-M200」

 AR-M200は、リーズナブルな価格設定もさることながら、片手でサクサクと操作できること、そしてコンパクトなサイズ感で親しみが持てるプレーヤーだ。アルミニウムをメイン素材にした質感の高いボディはとても軽くて持ちやすい。カラーはダークグレー。

滑りにくいよう背面はラバーパネルとした

 本機の企画意図についてSUH氏は、「スマートフォンと“2台持ち”して、最強のパフォーマンスを発揮できるハイレゾ入門プレーヤーを作りたかった」と話す。最大の特徴は、Bluetoothによるバイダイレクション(双方向)通信に対応したこと。つまりBluetoothで接続したスマホと、オーディオデータを含む信号の送受信をワイヤレスで実現した珍しいプレーヤーだ。SUH氏は「双方向通信はBluetoothの規格範囲内に定められている特別ではない機能だが、活用するためのプログラム開発が難しい。ARの優秀なエンジニアたちがこれを実現してくれたので、今回の新製品に搭載する」と経緯を語った。

 Bluetoothでペアリングしたイヤフォンやヘッドフォンにデータを飛ばすトランスミッター機能のほか、ペアリングしたスマホからの通信を受けられるレシーバー機能の両方が備わる。とくに後者のレシーバー機能を活用すると面白い使い方ができる。例えばスマホに着信した通話をプレーヤーで受けて、マイク付きイヤフォン(アンバランス接続のもの)を使ってそのまま会話ができる。また、スマホで「Spotify」や「Google Play Music」など音楽ストリーミングを再生して、プレーヤーで受けながら聴くことも可能だ。高品位な音楽再生を追求した結果、オーディオコーデックはハイレゾ相当のワイヤレス品質を実現する「aptX HD」に送受信側とも対応した。

本体の下側に4.4mm/5極のバランス端子(左側)と3.5mmアンバランス端子を備える。USB Type-Cを採用

 イヤフォンリスニングは、バランス接続とアンバランス接続の両方をサポートし、本体の下側に2つの端子を備えている。バランス接続の端子はソニーが昨年の秋に発売した“ウォークマン”「NW-WM1シリーズ」が搭載した4.4mm/5極のプラグ。SUH氏は同プラグを採用した理由について、「S/N特性が良く、ダイナミックレンジも広い。コネクター品質が安定していて、破損などのトラブルも少ないところに魅力を感じた」と説明した。

 フロントパネルにはカラー表示の液晶ディスプレイを搭載。本機がAndroid OSを採用しなかった理由については、「スマホよりもシンプルな単体音楽プレーヤーのインタフェースを強調したかったから」とSUH氏。タッチパネルも本機では見送られ、代わりにフロントパネルと側面に搭載されている物理ボタンで操作する。

 2VrmsのヘッドフォンアンプはフルA級動作。アルミ製のシャーシによって熱を拡散する構造としたほか、大容量バッテリーパックを搭載して8〜10時間の連続音楽再生を実現。急速充電機能により使い勝手を高めた。

 D/Aコンバーターは、SUH氏が「いま存在するオーディオ用DACチップの中で最高の選択肢」と絶賛する旭化成エレクトロニクスの「AK4490EQ」をセレクト。再生可能な音楽ファイルの形式はFLAC/ALAC/WAV/AIFF。DSD再生についてはリニアPCM変換により対応する方向で作り込みが進められている。内蔵ストレージは8GBと小さめだが、microSDカードスロットを1基搭載している。

側面にmicroSDカードスロットを設けた

 筆者も会場に持参したイヤフォンで試作機のサウンドをチェックしてみた。中高域の解像感が高く、ボーカルはキリッとしてシャープな顔立ち。音像の輪郭をクッキリと描く。中低域のパンチがもう少しほしい感じもするが、SUH氏は「発売までにさらにチューニングを追い込んでいく。完成を楽しみに待ってほしい」とブラッシュアップに自信をみせた。

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