連載
» 2017年10月20日 16時28分 公開

「世界よ、これが日本のブランドだ!」――麻倉怜士のIFAリポート2017(後編) (1/4)

AV評論家、麻倉怜士氏による「IFA 2017」振り返り。後編は日本を代表する2大メーカーのソニーとパナソニックを中心にお届けする。

[天野透,ITmedia]

 AV評論家、麻倉怜士氏による「IFA 2017」振り返り。後編は日本を代表する2大メーカーのソニーとパナソニックを中心にお届けする。ソニーでは超小型カメラ「RX0」に往年のソニーらしさを感じ、パナソニックはベルリン・フィルとの協業を通じて音楽の真価に迫る。“今を乗り越えるのに精一杯”という状況を脱した2社は“これからのエレキ”を考え始め、人類をワクワクさせるさまざまな提案をぶつけてきた。世界よ、これが日本ブランドだ!

プレスセンター下のスペースでパチリ。広大な夏庭(Sommergarten)前の入り口で、この脇の5号館にはパナソニックが毎年巨大なブースを構えている

――IFA前編ではシャープが元気になってきたという話でしたが、その他のメーカーはどうだったでしょうか?

麻倉氏:ソニーとパナソニックは日本を代表するブランドとして、ここ数年のIFAで踏ん張ってきました。今年はシャープとともにこの2社も元気でしたね。

 ソニーに関しては、内外から求められていた“ソニーらしさ”がついに復活しそうな印象でした。一時期のどん底状態を脱し、これまでもだんだん良くはなってきていたのですが、残念ながらソニー好きが「これはスゴイ」というモノはなかなか出てこなかったんです。それが今回ついに、超小型高級カメラ「RX0」として出てきました。実物を見ると往年のソニーらしさがよみがえった感じがしましたね。

誇張なしの“手のひらカメラ”「RX0」。この小さな筐体に1インチセンサーを詰め込んだ、ソニーの力作

麻倉氏:“ソニーらしさ”とはよく言われる言葉ですが、私はこれを“凝縮してデザインと価値を詰め込むこと”と考えます。モノのありがたさというか、モノの中に詰まっている魂というか、そういうものがRX0では発露しているんです。例えばウォークマンも、家庭に鎮座していたステレオをポケットサイズに詰め込んで、ヘッドフォンでどこでも音楽を聴けるというスタイルを作りました。近年欠けていた“ソニーらしいものづくり”がRX0にはあり、「この小ささの中に価値が詰まっている」という感じがします。まさに“It’s a SONY”な製品ですね。

 これまでの製品を見てみても、RXシリーズ自体が大きな1インチイメージセンサーをベースにした高付加価値カメラ、というポジションになっています。これが掛け値なしに“手のひらサイズ”になったわけです。しかも1インチセンサーはそのままキープ。実際に取材してその中を見せてもらうと、結構大きなレンズとバッテリーでほとんど筐体(きょうたい)がいっぱい。わずかなスペースに回路を詰め込んだ超高密度設計になっていました。画質も当然こだわっていて、使い方や醸し出されるモノの魅力、魔力のようなものを感じました。

麻倉氏の取材用ポケットカメラ「G9X」と比較してもご覧の通り。小型化に対するソニーの強い執念を感じる

麻倉氏:面白いのは、これが単に小さくなるだけでなく、複数を同期した撮影もできるということです。オンリーワンの使い方として、床や部屋に埋め込んだ、これまででは見たこともなかった画像が撮れることをアピールしていました。単に従来のものを小さくしただけでなく、“小さくしなければできない撮影技法、新しい切り口”。小型化による新しい機能、新しい提案です。それも含めてソニーらしい。“Like no other”の精神で切り拓いていくところが出てきていました。

従来のカメラとは全く違う可能性も出てくる。担当者も「どんな使い方をされるか楽しみ」としていた
あまりの小ささとチープさを微塵も感じないしっかりした作りに、麻倉氏も興味津々の様子

――大きさ、あるいは小ささを突き詰めていくと、あるボーダーを越えた時に従来とは全く違う価値が出てくる。ソニーはこれまでも“世界最小・最軽量”という言葉を好んで使ってきましたが、このRX0はまさに“過激な小型化”が生む価値を体現していますね

麻倉氏:こういうメーカーは前向きで、少々冒険をしてもすごい提案を出してきます。ですがそれは、企業にある程度の体力がないとできません。新たに投資も必要となり市場性も不透明となると、縮小傾向の時はなかなか足を踏み出せないわけです。

――チャレンジができる、あるいは面白いものを開発できているということは、企業としてソニーが上手くいっていることの裏付けだと感じます

麻倉氏:シャープの8KもソニーのRX0も、これまでにない切り口によるこれまでにない提案です。会社にそれだけ力が付いてきて、先のことを考えるリソースと余裕が出てきた。とても感動的なトピックですね。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia LifeStyle に「いいね!」しよう