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ソニーのスマートスピーカー、音はやっぱり違った「スマスピ」おしゃべり広場

» 2017年11月08日 06時00分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 ソニーの「LF-S50G」(最終版ではない試用機)が編集部に届いたので、さっそくチェックした。音質にこだわったというオーディオメーカーのスマートスピーカーは、どのような声を聞かせてくれるのか。

ソニーの「LF-S50G」(左)と「Google Home」(右)

 結論から書くと、「Google Home」より上質。もちろん「このサイズのスピーカーとしては」という前置きは必要だが、LF-S50Gのはっきり前に出てくるボーカルにしっかり楽器の存在を認識できる高域と低域。ピアノやドラムもそれぞれはっきりと分かる。「Google Home」の“もやっ”とした低音と比べると違いは歴然だ。Bluetooth/NFCに対応した点も含め、スマートスピーカーを音楽再生中心で使うつもりなら、LF-S50Gも候補に入れた方がいい。

カバーを外すと分かる音へのこだわり

 音へのこだわりは、ファブリック素材のカバーを外してみると分かる。いかにも「小さなところに詰め込みました」という複雑な内部構造が見える。

カバーを外したところ

 まず、スピーカーユニットの配置が特殊だ。通常は前方に向けてスピーカーユニットを固定するものだが、LF-S50Gの場合はリビングの中央に置くことを想定しているため、本体を中心に360度、全方位に音を出す仕組みになっている。主にボーカル(人の声)の周波数帯域を担当するフルレンジスピーカーを上向き、低域を鳴らすウーファーを下向きと向かい合うように配置し、中央には表裏に円すい状の構造を持つディフューザーを設けた。ここで反射した音が側面全てから放出される構造になっている。

 またLF-S50Gに使用されるフルレンジユニットをよく見ると、振動板からセンターキャップが独立していることが分かる。これは、センターキャップをボイスコイルボビンに直接取り付け、中高域のエネルギーロスを防ぐため。小さなスピーカーならではの工夫だ。

フルレンジユニットをよく見ると、振動板からセンターキャップが独立している

 さらにウーファーの背後(上部)には、曲がりくねったバスレフダクトを設け、その中にダンプ材(スピーカーの気密性を高めるもの)を詰め込んだ。わざわざダクトを作ったのにダンプ材でふさいだのは、ウーファーの大きな振幅に共振の強さを合わせて低域の質を上げるため。開発担当者は、「バスレフ構造でありながらダンプすることで、密閉型とバスレフ型の“良いところ取り”ができた」と話している。

ダクトの中にダンプ材を詰めている

 Bluetoothスピーカーなど小型のスピーカーでは、低域の量感を出すためにパッシブラジエーター(ほかのスピーカーユニットが駆動する力で振幅し、低域を補強するもの)を採用するケースも増えているが、LF-S50Gではあえて採用していない。量感は少なくても締まった低域(=解像感の高い)を目指したためで、少なくとも実際の音を聞く限り、その判断は正しかったと思う。

選択肢は1つじゃない

 ただ、モノラルであることやBluetoothのコーデックが標準のSBCしかサポートしていないなど、オーディオ用スピーカーとして捉えるとLF-S50Gには物足りない部分も多い。それを不満に感じるのなら、「Chromecast built-in」や「Works with the Googleアシスタント」認証済みのオーディオシステムと組み合わせる手もある。

 Works with the Googleアシスタントは、Googleアシスタントを介してハードウェアそのものを操れる機器を対象とした認証プログラム。ロゴが付いている製品は、シングル/マルチルーム再生を含め、楽曲の再生/停止、音量調節といった操作が音声で行える。

 ソニー製品の場合、システムステレオの「CMT-SX7」やサウンドバーの「HT-CT790」、ワイヤレススピーカー「SRS-HG1」など既に18機種がWorks with the Googleアシスタントに対応済み。いずれもChromecast built-inもサポートしている。もし、これらの製品を既に所有している、あるいは興味があるのなら、“声で操作するオーディオシステム”を作ってみるのも面白そうだ。

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