インタビュー
» 2018年01月16日 19時28分 公開

CES 2018:ホンダのロボットが「もち肌」になった理由 (1/2)

本田技研工業が「CES 2018」に出展したロボット「3E-A18」。表面を触ってみると、柔らかい“もち肌”だった。開発担当者に詳しい話を聞いた。

[山本敦,ITmedia]

 本田技研工業が「CES 2018」(2018年1月9日〜12日、米国ネバダ州ラスベガス)で披露したロボットたち。「Empower・Experience・Empathy」を開発テーマとし、人の生活圏に溶け込み、人とロボティクスデバイスがそれぞれの得意領域を生かして共働することで、人の可能性をも広げるという。その意図とロボットが持つ機能について、開発担当者に聞いた。

ひょうたん型の「3E-A18」はユニークな形状のコミュニケーションロボット。型番は、開発コンセプトの頭文字から取った「3E」と、AからDまでのアルファベット、2018年のコンセプト機である「18」を組み合わせている
「3E-B18」は、チェア型のパーソナルモビリティー。上部のアタッチメントを交換してベビーカーや荷物カートなどに変身する
4つのロボットの中で一番大きな「3E-D18」。上部のアタッチメントを交換して消火活動や農作業など幅広いシーンで活躍することを想定している。路面状況が悪い場所でも走行が可能で、最大時速は40km

 中でもユニークな外観と動きで来場者の注目を集めていたのが、ひょうたん型の「3E-A18」だ。1本足なのか胴体なのか分からないが、直立したままスムーズに移動する。顔の部分は背面投射型のプロジェクターにより、様々な表情や「Hello!」など簡単なメッセージを表示できる。

親しみやすい姿をした「3E-A18」。足もとの黄色い部分には本革素材が使われているという

 開発に携わった本田技術研究所 R&DセンターXの小川直秀さん(開発戦略室主任研究員)によると、テーマは人と触れあい、暮らしに溶け込むコミュニケーションロボットだという。「今は様々なロボットがありますが、人が親しみを持って接することのできるロボットは意外と多くありません。3E-A18は今回の出展テーマから特に『Empathy=人と共感』できるロボットの役割を意識して開発しました」(小川さん)

 特徴的な外観については、「丸みを帯びた形状と柔らかな外装の素材を活かし、思わず触れたり抱きしめたくなるようなデザインになっています」。促されるままに3E-A18に触れてみたところ、まるでモチのようにふわふわしていて気持ち良かった。「これは癒しの効果に加え、万が一、人と衝突した場合の安全性を考慮したものです」(小川さん)

開発を担当したR&DセンターXの小川直秀さん

 しかし、コミュニケーションロボットにも関わらず、3E-A18は言葉を話さない。「人間とロボットとの理想的なコミュニケーションを考えた場合、もしも将来人工知能の技術を使って饒舌(じょうぜつ)にコミュニケーションができるロボットが誕生したとしても、話ができることをかえって煩わしく感じるかもしれません。3E-A18はあえて言葉を話さず、“ピコピコ”とシンプルに機械音を鳴らすことで、反対に親しみを感じさせる距離感を目指しています」(小川さん)

 ホンダがロボティクス研究で培ってきたバランス制御技術により、最高時速6kmで走りながら、どんな方向からぶつかられても衝撃を受け流せるというのも大きな特徴だ。3E-A18が活躍するのは“人々の中に混じる”場面。例えば空港やショッピングモールの施設案内や展示会のマスコット、あるいはマイクとスピーカーを搭載して海外旅行客を助ける翻訳ロボットといった用途で真価を発揮するのかもしれない。

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