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「もうコード付き掃除機は作らない」 ダイソン、60分駆動するコードレススティッククリーナーを発表

» 2018年03月20日 16時19分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 ダイソンは3月20日、スティック型掃除機の新製品「Dyson Cyclone V10コードレスクリーナー」を発表した。サイクロン機構とクリアビンを直線的に配置した新デザインに加え、最長60分のバッテリー駆動時間を実現したことが特徴だ。創業者のジェームズ・ダイソン氏は「もうコード付きの掃除機を開発する必要はなくなった」と強調する。

「Dyson Cyclone V10コードレスクリーナー」。日本市場へのコミットを示すためにわざわざ用意したという日本刀の刀掛台に鎮座していた
「もうコード付きの掃除機を開発する必要はなくなった」というジェームズ・ダイソン氏

 新開発のブラシレスモーター「V10」は、8極設計により従来の「V8」に比べて体積で20%減、重量は50%減としながら毎分12万5000回転を誇る「ダイソン史上、最もパワフルなデジタルモーター」(同社)。来日したダイソン氏は、「掃除機が最高のパフォーマンスを発揮するには効率的なモーターが不可欠。V10の実現により掃除機の形状が刷新され、ダイソンのコードレスクリーナーで最高の性能を生み出すことができた」と話す。

歴代の掃除機用モーター。右端が「V10」
デザインが大きく変わった

 モーターの回転を気流に変える羽根(インペラー)は斜線型となり、羽根同士を部分的に重ね合わせて表面積をかせいだ。シャフトは鉄の3倍の強度を持つというセラミックとなり、モーターケースは人工衛星などに使用される熱硬化性フェノール樹脂成形材を採用するなど、超高速回転に耐える強度と高い弾性を持つ素材を選択している。「新しいネオジム磁石もあるが、それは機密だ」(ダイソン氏)

カットモデルを上から撮影したもの。空気の流路が直線的になっていることがよく分かる

 小型モーターの採用で直線的な配置が可能になったサイクロン機構は14個のコーンを本体周りに同心円状に配置し、従来よりもスムーズに「空気が連続的に流れる」という。各コーン内では最高時速193キロで空気が回転し、7万9000Gの遠心力で空気とゴミを分離する仕組みだ。

 リチウムイオンバッテリーは、正極材料をNCA(ニッケル、コバルト、アルミニウム)組成とすることで、エネルギー密度を高めたもの。2016年の「V8シリーズ」で初めて採用し、バッテリー駆動時間をそれまでの倍にあたる40分に延ばしたが、今回はさらに改善を加えた上、1セル増やして(計7セル)最長60分という「家中を掃除できる」駆動時間を実現した。

「家中全て掃除できる」と言って掃除を始めたダイソン氏

 「V10は全てのコード付き掃除機に取って代わる。これが“掃除機の未来”だ」(ダイソン氏)

 Dyson Cyclone V10コードレスクリーナーは、同日からダイソン直営店や公式オンラインストアで販売。直販価格は6万9984円から。3月28日からは家電量販店にも順次展開する。

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