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» 2004年03月10日 20時27分 UPDATE

イーサネットの生みの親、「ITはどうでもいい」に反論

「ITはどうでもいい」という記事を書いたカー氏とイーサネット発明者メトカーフ氏がディベートで対決。IT支出の削減を促すカー氏に対し、メトカーフ氏はITは重要だと主張した。(IDG)

[Kathleen Melymuka,IDG Japan]
IDG

 ITはもうどうでもいいのか? 3月8日夜、Computerworld主催のPremier 100 IT Leaders Conferenceの最後を飾った激しいディベートで、作家のニコラス・G・カー氏は「ITは企業に競争上の優位性をもたらすものではなくなった」と主張。イーサネットの生みの親、ボブ・メトカーフ氏はこれに反論した。

 聴取は両者のやり取りに聞き入り、セッションの終了予定時間から30分を過ぎるまで質問の応酬は続いた。

 元Harvard Business Review編集者のカー氏はまず、昨年同誌に寄稿した「IT Doesn't Matter(ITはどうでもいい)」という記事について詳しく語った。この記事で、同氏はITアプリケーション・インフラは、業務に必要であり、業務プロセスに欠かせないが、簡単に複製できるようになったため、もはや持続可能な競争上の優位性をもたらすものではない」と主張した。

 「誰もが同等であれば、利益を得るのは顧客であり、業績向上にはつながらない」とカー氏。

 鉄道や電話、電気のように、ITは一般的なビジネスインフラ――競争する上で絶対に必要だが、もはや戦略的ではないもの――の1つになったと同氏。企業はまだこれを理解しておらず、その結果、ITに必要以上に積極的に金を使っているとも指摘した。

 同氏は、現在ITにおいてはリスク管理が革新よりも重要であり、最大のリスクは過剰にお金を使うことであると語った。「企業はIT支出を年々減らしていく傾向を持つべきだ。先頭に立つのではなく、後についていくことだ。ちょっと遅らせるだけで、かなりのお金を節約でき、リスクを減らせる」

 しかし、イーサネット発明者で、現在はPolaris Venturesの社長を務めるボブ・メトカーフ氏は颯爽と登場し、聴衆に向けてこう語った。「カー氏はあなた方を忍耐力がなく、ルーズで、無駄が多くて金遣いが荒く、非生産的で、誇大宣伝に簡単に誘惑されてしまう人間だと言っている。私の前にも多くの人がカー氏の偽りを暴いている。だからまるでエリザベス・テイラーの9番目の夫のような気分だ。何をするべきかは分かっているが、どうやったらそれを面白くやれるだろうか?」

 メトカーフ氏は、ITは重要であり、調査会社IDGの調べでは、2003年のIT支出は1兆8000億米ドルにも上ったと反論。企業幹部は業務時間の20%をIT関連のことに費やしており、そのうち58%の幹部は、ITの戦略的重要性は拡大していると話していると同氏は付け加えた。ITの重要性が低下していると答えた幹部はわずか2%という。

 また同氏は、結局カー氏が言っているのは「サーベインズ・オクスリー法(企業改革法)違反で連行されたくないなら、むやみに金を使うのも、よく考えずに何かに飛びつくのも、企業資産を浪費するのもやめるべきだ」ということだと語った。

 メトカーフ氏は、カー氏が自分の理論を裏付ける調査結果のみを引用していると指摘。「調査によって、これらの(カー氏が引用した)調査は彼らの意図した通りの結果を示していることが分かった。調査結果を疑うべきだ」

 Premier 100カンファレンスに参加したITリーダーは、技術革新を陰で支えた英雄たちだとメトカーフ氏。「カー氏のアドバイスに従ったら、どうやって新技術を完成させ、その市場を見つければいいだろう? 誰がたたき台を提供してくれるというのか?」

 同氏は最後に、カー氏の見解は間違っているだけではなく、「記事のタイトルだけを見た大多数のHarvard Business Review読者に誤解を抱かせた」ため、危険でもあると主張した。同氏の誤りを完全に暴かない限り、「今のMBA取得者たちは、286マシンでWordPerfectを走らせることになり」、米国民の発明の才能は「芽生えないうちに抑え付けられてしまう」とも。

 両者はそれぞれ言い分を述べた後、丁々発止のやり取りを交わし、聴衆からの質問やコメントも差し挟まれた。聴衆はほぼ全員がカー氏に反論する側に立った。ある参加者は、ITがコモディティ化したのなら、なぜ企業によるIT利用の成功に大きなばらつきがあるのかと尋ねた。また別の参加者は、ITの革新的な利用によって競争上の優位を保っている例として、Wal-Mart Stores、eBay、Amazon.comを挙げた。

 カー氏の理論が部分的に正しいとしても、まだコモディティ化されていない新技術は常に存在していると言う参加者もいた。「戦略的妥当性を保てるほかの技術を追及していく必要がある」とこの参加者は主張した。

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