「Office 2004 for Mac Standard Edition」発売日の6月19日、マイクロソフトは東京・銀座の「アップルストア銀座」でユーザー向けのお披露目イベントを開いた。
登場したのはマイクロソフトの古川享執行役最高技術責任者(NTO:National Technology Officer)。実は初代Macintoshを発売日にアメリカで買ったというほど古くからのMacユーザーだ。時にリップサービスを交えて繰り出される“古川節”に、Macユーザーで埋まった会場も大いにわいた。
古川NTO、「あの時私がアップルの社長を引き受けていたら、OSのシェアはかなり変わっていただろう」といきなり仰天告白。なんと1986年、アップル社長就任のオファーを受けていたという。Mac好きを自認する古川NTO、当時は米Microsoftに在籍していたが、ちょうどビル・ゲイツ氏とケンカ中。渡りに舟の申し出だったが結局断った。「ソニー製Macintoshを作りたいと言ったら、『お前には売らせてやるだけだ』と一蹴されたから」(古川NTO)。
そんな経緯でマイクロソフトに残った古川NTO。アップルはマイクロソフトと一緒に最先端技術を追いかけ、お互いを高めあう仲間だという。「今日私がアップルストアの発表会に出ると知った人に『敵陣に乗り込むのですか?』と言われたが、私はAppleを敵だと思ったことは一度もない」(古川NTO)。
例えば1986年、マイクロソフトが初めて出したExcelはMacintosh用だった。「新機能の搭載プラットフォームは自社製品にこだわらず、最もふさわしいものを選ぶ。Macintosh用ソフトにも、後でWindows用ソフトの開発者が真似したくなるような機能を搭載したいと思っている」(古川NTO)。
Office 2004 for Macにも、Windows版にない機能が多く搭載されている。PowerPointでプレゼンテーション時に残り時間を表示する機能、Wordでメモをとりながら音声録音できる機能など「Windows版にも欲しいと悔しくなるような機能だ」(古川NTO)。
また、MacintoshかWindowsかという二者択一の考え方は間違っていると古川氏は言う。
「秋葉原で突然、Macユーザーに『オレはMacが好きだからお前が嫌いだ』と言われたことがある。しかし、好きとか嫌いとか、1かゼロかとか、そういう視点ではこれからのユビキタス社会は成り立たない」。MacintoshもWindowsも、PCもデジタル家電も、どれかを排除するのではなく、すべてが共存できる社会になるべきだというのが持論だ。「ユビキタス社会の実現のために、“Mac信者”の人々にも一緒にみこしを担いで欲しい」(古川NTO)。
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