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「ネット中心の新しい野球ビジネスを」――楽天・三木谷社長

» 2004年09月24日 20時00分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「野球のビジネスモデルを、マスメディア中心からインターネットや携帯電話中心に変えたい」――9月24日、日本プロ野球組織(NPB)に正式に加盟申請した楽天の三木谷浩史社長は、プロ野球団経営参入のねらいを語った(関連記事参照)

「小学生のころから野球が好きだった」と三木谷社長

 参入が認められれば、同社のブロードバンドコンテンツサイト「ShowTime@楽天」で中継を放送したり、携帯電話での速報配信、楽天市場での優勝/勝利記念セール、チケットのオンライン販売など、ネットを生かした新しい野球ビジネスを展開する計画。4年で黒字化を果たす考えだ。

 球団経営参入には、インターネットを使わない層に同社の認知を高める狙いもある。「サッカーファンはネットを使う層との重なりが大きいが、野球ファンはそうでもない」(三木谷社長)。PCでネットを使わない層に対しては、携帯電話やTVのネットサービスなど、PC以外の方法でアプローチする計画だ。

突然の参入表明の“なぜ”

 「ライブドアほど表立ってはやらない主義だが、楽天も水面下で近鉄の買収交渉をしていた」(三木谷社長)。同社はここ半年ほど、関連金融機関などに働きかけて大阪近鉄バファローズの買収に取り組んできたが、うまくいかなかったため、新規参入に踏み切ったという。

 これまで「野球に興味はない」とマスコミに話しながら、一方では近鉄買収交渉を進めていた三木谷社長。「外に言っていることと、実際に考えている戦略は違うこともある。企業を買収する時も、『あの会社欲しい』と言って回るバカはいない」と、ライブドアとは違うアプローチを取った真意を説明した。

 同社と同じく仙台を保護地域として新規参入を表明しているライブドアと比較してのウリを問われると「泥臭い営業を続けるなど地に足をつけたビジネス展開と、(関連会社が経営する)ヴィッセル神戸の実績」の2点を挙げた。

スター選手獲得へ?

 新球団の専用球場は県営宮城球場で、球団名は未定。10月末までに監督とヘッドコーチを決める。選手は、オリックスと近鉄の統合でプロテクトを外れた選手を中心に採用するが、「選手でも監督でもいいが、“華”が必要」(三木谷社長)と、フリーエージェントによるスター選手の獲得や、著名な監督の招へいを目指すことをほのめかした。

 また、経営の透明性を高めるため「アドバイザリーボード」を開設。メンバーとして奥田碩トヨタ自動車会長や、新浪剛史ローソン社長など経済界の重鎮を含む12人を発表し、「3カ月に1回程度、経営状態を説明して意見を聞く会を開きたい」(三木谷社長)とした。

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