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世界最速65TFLOPS NEC「SX-8」発表

» 2004年10月20日 13時50分 公開
[ITmedia]

 NECは10月20日、ベクター型スーパーコンピュータ「SX-8」を12月末から出荷すると発表した。512ノード(4096CPU)時の最大ベクター性能は65T(テラ)FLOPSと世界最高を達成した。汎用CPUを並列化したスカラー型がシェアを伸ばす中、専用プロセッサによるベクター型の実効性能の高さをアピールし、気象予報や自動車衝突解析など高度の計算が必要な分野に売り込む。

 2001年3月に発表した「SX-6」、メモリを大容量化した「SX-7」の後継機種。CPU、メモリ、I/O処理性能を大幅に強化してコストパフォーマンスを向上。さらに省スペース化も図った。

 シングルノード(最大8CPU)の最大ベクター性能を128GFLOPS(SX-6比2倍)に高め、これを512ノード(同4倍)までマルチノード化することで最大65TFLOPSの性能を実現した。メモリ容量も1ノード当たり最大128Gバイト、最大64Tバイト(同4倍)に大容量化。CPU−メモリ間のデータ転送速度は最大262Tバイト/秒(同7倍)、ノード間データ転送速度は最大8Tバイト/秒(同8倍)に向上させた。

 CPUは90ナノメートルの9層銅配線プロセスを採用し、SX-6と同様に1チップ化。ベクターユニットのパイプラインは従来比2倍の2GHzで動作し、CPU当たりの最大ベクター性能は16GBFLOPS。ハードウェア化した平方根演算は従来比6倍に向上した。

 ノードモジュールは、従来のケーブル接続を多層基板による接続にするなどして体積を減らし、CPUプロセスのシュリンクによる低消費電力化と冷却設計の効率化で実装密度も向上。同性能(1TFLOPS)で比較した場合、設置面積はSX-6の16ノード・48平方メートルに対しSX-8は8ノード・13平方メートルと約4分の1に省スペース化した。

 価格はレンタル月額で約117万円(税別)から。今後3年間で700台以上の販売を見込んでおり、既に約100台を受注した。1号機は英国気象庁(15ノード)と独シュトゥットガルト・ハイパフォーマンス・コンピューティングセンター(64ノード)に12月末に納入する予定。

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