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「日本最大のIP電話企業になる」――SkypeのセンストロムCEO

» 2004年10月26日 21時47分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「Skypeは、VoIP提供企業として日本最大になるだろう」――10月25日、来日したルクセンブルクSkype Technologiesのニコラス・センストロムCEOは自信を見せた。

「電話のビジネスモデルを変えたい」とセンストロム・センストロムCEO

 同社は同日、ライブドアとの提携を発表。ライブドアにプロモーションや日本語化作業を委託し、国内ユーザーを増やしたい考えだ。

 スカイプのユーザー数は現在、全世界で1300万人。毎日10万人前後増え続けているという。国内ユーザーは20万人いる。

 Skypeはライブドアとの提携を弾みに、国内ユーザーをさらに増やしたい考え。「台湾では、有名ポータルサイトと提携したことでユーザーが急激に増えた。日本で知名度の高いライブドアと提携すれば、多くの新規ユーザーを獲得できるだろう」(センストロムCEO)。

 センストロムCEOはP2Pソフト「Kazaa」の共同開発者として知られ、P2P技術をIP電話に導入したのがスカイプだ。NATとファイアウォールを簡単に超えられるなどの特徴が受け、最初の1週間で約6万人がダウンロードするなど、急速に普及した(関連記事参照)

 ユーザー同士を直接結ぶP2P技術を活用したため、中央サーバなどにかかる投資コストはほとんどかからない。サービス運営コストは非常に安く、無料ユーザーが増え続けても同社の負担は重くならないという。「回線にはインターネットを利用しているため、設備投資が不要。ユーザーも口コミで自然に増えるので、マーケティングへの投資も不要だ」(センストロムCEO)。

携帯でもスカイプで無料通話を

 Skypeの収入源は現在、携帯・固定電話に発信する機能「SkypeOut」利用時の通話料のみだ。SkypeOutユーザーは現在26万人。今後は留守番電話機能などを有料で追加できる「SkypePlus」で売り上げ拡大を図る。

 日本国内では、050番号を割り当てて着信可能にする有料サービス「SkypeIn」も、ライブドアを通じて提供したいという。

 ただ現在、公衆インターネット網を利用したIP電話への050番号割り当ては認められていない。ライブドアの堀江貴文社長はこれについて「総務省の方針は理不尽。今後も粘り強く説明し、番号割り当てを受けたい」と話した。

 センストロムCEOは、スカイプを無線LAN対応携帯電話やスマートフォンにも搭載したい考えだ。「Window版やMac OS版、Linux版など、PC向けは既に提供済み。PDA向けにもPocket PC版をリリースした。今後は携帯電話メーカーやキャリアと提携し、携帯電話にスカイプを搭載したい」(センストロムCEO)。

 当面の顧客ターゲットは個人ユーザーだ。「個人のほとんどが、どこかの会社の社員。個人ユーザーは、社内にも持ち込んでくれる」(センストロムCEO)。実際、ユーザーの3割がSkypeを会社から使っているという。ただし将来的には、法人サービスも提供したいとした。

ライブドアはスカイプをテコに無線LANサービスに進出

 ライブドアはSkypeとの提携でメッセンジャーやP2P IP電話を自社サービスのラインアップに追加できる上、スカイプから「livedoor ギガメーラー」「livedoor ブログ」など同社サービスに直接アクセスできるようにし、ユーザーの利便性も高められる。

 ライブドアは公衆無線LANサービスの展開を計画中だ。IEEE 802.11nなど新規格に対応したアクセスポイントを、東京都心を皮切りに100台単位で設置する計画だ。

 新サービスのキラーアプリとして期待するのがスカイプ。堀江社長は「無線LANスポット内で、スカイプを使って無料通話できるようにしたい」と話し、ライブドアのIP電話「SIPフォン」との相互接続を可能にするなど、同社サービスとの連携を進める。

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