「周波数割り当てをオープンに」――米弁護士ら
ブロードバンド推進協議会(理事長・孫正義ソフトバンク社長)が11月30日に開いた講演会「米国における通信事業分野の競合政策」で、米国の弁護士など4人が、米国連邦通信委員会(FCC)による周波数割り当て政策について講演。日本の総務省も新規参入業者に有利な割り当てを行えば、キャリア間の競争が進み料金低下やサービス向上につながると話した。
講演したのは、米コーネル大学ロースクールのドナルド・ベーカー教授、エコノミストのジョン・ヘイズ氏、反トラスト法に詳しいロバート・ドゥワイヤー弁護士、情報通信に詳しいヘンリー・ゴールドバーグ弁護士の4人。ヘイズ氏以外は、ソフトバンクが10月に総務省を相手取って起こした、800MHz帯割り当てに関する行政訴訟のアドバイザーも務めている。
ヘイズ氏は、日本の携帯電話ユーザーのARPUが米国などと比べて高額なのは、上位2社が8割の圧倒的なシェアを握り、競争が十分でないためだと指摘する。「上位3社のシェアが5年間、まったく同じというのは異常」(ヘイズ氏)。米国は地域によって対応キャリアの数に違いがあるが、5社前後が熾烈(しれつ)な競争を繰り広げており、上位2社のシェアは5割にとどまっているという。
米国で競争が促進されたのは、FCCが1994年以降、新規参入事業者に有利な形で周波数の追加割り当てなどを実施し、携帯事業者が一気に増えたためだという。「新規参入事業者の多くは、既存事業者よりも革新的なサービスプランや新技術など、消費者にとってメリットとなるインセンティブを持っている」(ヘイズ氏)ため、新規事業者を優先して帯域を割り当てるのは理にかなっているとヘイズ氏は話す。
当時、新規割り当て周波数は120MHz分あったが、FCCはこれを30MHz×3と10MHz×3に6分割。1社に認可される周波数の上限を45MHz(地方では55MHz)と定めた。すでに25MHzを割り当てられていた既存事業者2社が新たに取得できるのは、最大でも20MHz分にとどまる。この結果、数社が新規参入して競争が激化。通話料は下がり、新サービスが続々投入されたという。周波数の上限は、2003年1月に撤廃されている。
べーカー氏は、キャリア間の競争促進に関連してCingularとAT&T Wirelessの合併に言及。米司法省は、両者の合併によってできる巨大なキャリアが公正な競争を阻害しないよう、周波数の一部や顧客名簿、施設などを他キャリアに譲渡することを命じたという。
周波数割り当てはオープンな場で
「FCCの周波数配分プロセスは、オープンで公正だ」(ヘイズ氏)。法的行為の前には必ず公告して一般の人々から意見を募集。周波数配分が決まれば、その方法(入札、先着順、均等配分など)も公告する。委員は周波数配分について、公開された場以外で話し合うことが禁じられている。また、割り当てられた周波数を使っていない事業者からは、割り当てを剥奪する方針を掲げている。
ゴールドバーグ氏は「日本の総務省もFCCと同様、透明なプロセスで多くの人の意見を容れ、競争の機会を提供すべきだ」と話すが、FCCの政策も完璧ではないと認める。「(新規参入を積極的に促進した結果)アメリカは携帯キャリアが増えすぎた」とし、さらなる業界再編が必要になる可能性も示唆した(関連記事参照)。
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