800M/1700MHzのデュアル携帯は可能か?〜携帯周波数第4回会合(1/3 ページ)

» 2004年11月25日 15時56分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 総務省は11月25日、「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第4回会合を開催した。今回、争点になったのは「800M/1700MHzのマルチバンド携帯は可能か」だ。

 会場には、通信事業者のトップが集結。ドコモの中村維夫社長、KDDIの小野寺正社長、ボーダフォンの津田志郎執行役、ソフトバンクの孫正義社長、イー・アクセスの千本倖生社長らが一堂に会するという豪華なキャスティングだった。

Photo 上列左からソフトバンクの孫氏、イー・アクセスの千本氏、下列左からドコモの中村氏、KDDIの小野寺氏、ボーダフォンの津田氏

マルチバンドは「欧米の常識」

 会合は、各事業者が順に自らの考えをプレゼンする形式で行われた。トップバッターとなったソフトバンクの孫氏は、自説である「800MHz帯は効率が良く、有利な帯域であること」を改めて強調するとともに(11月24日の記事参照)、800MHzと1.7GHzのデュアルバンドサービスを提供したいと話す。

 800MHzにこだわる孫氏だが、さすがに各キャリアが重視する800MHz帯で大きな帯域幅を獲得し、それだけでサービス展開することは難しい。ソフトバンクとして800MHz帯で上下各10MHz幅を手に入れ、さらに1.7GHz帯で上下10MHz幅を獲得することで、多くの加入者を収容できるインフラを構築したい考えだ。

 そこで出てきたのが、800M/1700MHzマルチバンドというアイデア。孫氏はMotorola製 850M/900M/1800M/1900MHz 4バンド対応GSM携帯をかざしながら、欧米ではマルチバンドは常識的な手法だと強調する。

 「マルチバンドシステムは、W-CDMAでは3GPP/TS25シリーズとして、CDMA2000では3GPP2/TSG-Cシリーズとしてそれぞれで標準化されている。800MHz帯と1.7GHzでは周波数が離れており、干渉の問題もない」

 マルチバンドを採用しても基地局コストはさほどかからず、同一キャビネットに800MHzと1.7GHzのカードを挿し込むだけですむ。端末コストの増加分も「3ドル未満」(孫氏)であり(11月8日の記事参照)、事業者負担で吸収できる額だとした。

 孫氏はまた、ほかのキャリアも同様のマルチバンド戦略をとれば周波数問題は解決すると主張。ドコモやKDDIは、800M/2000MHzのデュアルバンド対応を促進すべきとした。

 「電車でいうと、800MHz車両と2GHz車両があって、2GHz車両は空っぽで走っている。800MHzから800M/2000MHzに乗り換えさせれば、800MHz帯が半分空く。ユーザーは携帯を2年で買い換えるのだから、1年で半分ずつ乗り換えさせればいい」

ドコモ、KDDIの反発

 孫氏の大胆な提案だが、ドコモやKDDIにしてみればとても飲める話ではない。

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