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再生から攻めに転ずるパワードコム

» 2005年03月17日 19時16分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 電力系通信会社のパワードコムは3月以降、法人向け新サービスを相次いで投入する。回線の信頼性を高めるサービスや、セキュリティ強化サービスなどをラインアップ。中堅企業や公共・金融分野を中心に売り込む。手薄だったエリアにも営業を拡大して顧客層の拡大に努める一方、無線LAN対応携帯電話の普及をにらんだ独自インフラの構築を進めるなど、積極策に打って出る。

17種類の新商品ロードマップ

 昨年6月、米SCM大手のi2 TechnologiesでCOOを務めた中根滋氏が社長に就任し、データ通信サービスの低価格化と競争激化で不振に陥っていた同社の再生を進めてきた。個人向けISPはドリーム・トレイン・インターネット(DTI)に、電話事業はフュージョン・コミュニケーションズにそれぞれ統合し、本業の法人向けデータ通信に集中する体制を構築した。

 その結果、「今年度の法人事業は売り上げで前年度比10%伸びた」(野呂良材専務執行役員)と明るい兆しが見えてきた。特に公共・金融など信頼性が要求される分野と中堅企業向けが好調。17種類の新サービスを矢継ぎ早に投入し、攻めに転じる。

 新サービスの売りは、電力系ならではのネットワークの信頼性と、強固なセキュリティや利便性。4月開始の「どこでもオフィス」は、情報漏えいを防ぎながら社内LANにリモートアクセスできる。リモートからはデータは参照のみが可能で、ダウンロードできない仕組みだ。8月スタートの「Powerd Ethernet type D」は、エッジスイッチとアクセス回線を二重化して信頼性を高めた。可用性を従来の10倍の99.9999%とし、ダウンタイムを1年間に30秒に抑えた。

 国内外で顧客ベースの拡大も進める。従来は首都圏での売り上げが9割を占めていたが、今後は首都圏以外での営業にも注力する。海外展開も本格化し、米MCIなど提携企業の回線を活用して国内企業の海外拠点をサポート。まず7月以降、東アジアから展開し、順次南アジアや欧州に広げる計画だ。

 無線LAN携帯への対応は、法人向けモバイルIP電話の需要拡大をにらんだ投資。電柱を活用するなどして各地に無線LANスポットを設け、無線LAN携帯から企業内ネットワークに接続したり、定額で携帯電話を使えるようにする。端末などは提携メーカーが提供し、同社はインフラのみをサポートするモデルだ。

2005〜2006年までのフェーズ1は、社内では固定IP電話を利用し、社外では携帯電話にローミングする。2006〜2007年のフェーズ2では、無線LAN対応携帯電話から社外ホットスポット経由で社内ネットワークに接続できるようにする。2008年以降は、無線LAN技術の進展とともにホットスポットのエリアが拡大。広いエリアで無線LAN対応携帯電話を利用可能にする

 このほかの新サービスは以下の通り。

サービス名 概要 スタート時期
Unify 複数キャリアの回線を並行利用するユーザーの申し込みやサポート、請求業務を同社が一括で請け負う 7月
Powerd Ethernet Mobileプラン 社内ネットワークに外部から直接接続 9月
PENeX6 IP-VPNサービス「PENeX」でIPv6に対応 6月
次世代専用線 スイッチで専用線とEthernet回線を切り替えられる。専用線からEthernetへの移行を考えているユーザー向け 2006年中
安心パック 同社回線ユーザー向けデータバックアップサービス 4月
メールセキュリティ・VoIPパック SOHO・一般向けのネット関連商品パッケージ 9月
簡単コンタクトセンター 応対履歴管理ソフトや通話録音などを低価格にパッケージ化 5月
Web Conference TV会議システムを月々数千円でASP提供 7月
ASPサービス 消耗品の集中公売やヘルプデスク、マネージメントサービスなどをASP提供 今夏
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