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MS、PDF対抗の文書フォーマット「Metro」を披露

» 2005年04月26日 09時52分 公開
[IDG Japan]
IDG

 次世代版Windowsには、コードネームで「Metro」と呼ばれる、文書の印刷・共有のための新たな文書フォーマットが含まれる。Microsoftが4月25日、明らかにした。MetroはAdobe SystemsのPostScriptおよびPDF技術に対抗するもののようだ。

 Metroは、シアトルで開催のWindows Hardware Engineering Conference(WinHEC)で、会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏による開幕基調講演の中で披露された。

 このフォーマットはXMLベースで、ロイヤリティフリーでライセンスされ、ユーザーは専用のクライアントがなくてもMetroファイルを開ける。デモの中では、MetroファイルをInternet Explorer(IE)から開いて印刷していた。

 プリンタとプリンタドライバにMetroのサポートを組み込めば、現行の印刷技術よりも美しく高速な印刷結果を実現できるとMicrosoftは語った。壇上では、サンプルスライドを印刷するのにMetro対応のXeroxプリンタが使われた。

 Metro技術はAdobeのPostScript技術としのぎを削ることになりそうだ。「これはAdobeキラーになる可能性がある」とEnvisioneering Groupの調査ディレクター、リチャード・ドハティ氏。「しかし、これは最初の威嚇射撃にすぎない。Adobeは(次期版Windowsの)Longhorn上にもっと魅力的な何かを載せてくるかもしれない」

 Metroのお披露目のほか、ゲイツ氏はこの日、64ビット版Windowsのリリースによって同氏が言うところの「Windowsコンピューティングの第3の10年」が幕を開けたとし、来年登場予定のLonghornについても語った(関連記事)

 同氏はWindows XP Professional x64 Editionと、64ビットサーバOSのWindows Server 2003 Standard x64 Edition、Microsoft Windows Server 2003 Enterprise x64 Edition、Microsoft Windows Server 2003 Datacenter x64 Editionの提供開始を発表した。

 これら64ビットOSは、従来と比べて1クロックサイクル当たりに処理できるデータの量が増え、対応できるメモリの量も増えており、ユーザーに従来以上の処理能力を提供する。

 64ビットへの移行は迅速に、スムーズに進むだろうとゲイツ氏は語った。同氏によると、これは特にサーバに当てはまる。サーバではこれまでよりも多くのTerminal Serverセッションをサポートできるようになるため、すぐに64ビット化の恩恵が受けられ、またActive Directoryの性能も向上するため企業ユーザーにとって魅力的だという。サーバ分野では年内に64ビットハードが主流になると同氏は述べた。

 PCでは、64ビットハードが主流になるまでに1年かかるだろうと同氏は予測した。対応アプリケーションとドライバの不足により、サーバよりもソフトの移行に時間がかかると見られている。また、アプリケーションをテストする必要があることから64ビットの採用が進まない可能性があるため、MicrosoftはLonghornの32ビット版も出荷する。

 ゲイツ氏はまたLonghornの一端を披露し、同OSの検索・インデックス化機能のデモを行った。MicrosoftはLonghornにデスクトップ検索機能を組み込んで、Windows XPの現行の検索機能は引退させる予定だ。

 WinHECの参加者には、Longhorn向けドライバの開発に使うためのプレビュー版Longhornが配布される。同OSの最初のβ版は6月末までにリリースされ、正式版の登場は2006年後半に予定されているが、テスト中に問題が見つかるかもしれないため、リリース日はずれる可能性があるとゲイツ氏は語った。

 同氏は、LonghornはMicrosoftにとって重大なリリースであり、最大のマーケティングによってこれを市場に推進すると改めて述べた。

 WinHECは4月27日まで開催される。

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