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走行中の車両から100Mbps超で常時接続――NICTらが実証実験に成功

» 2005年06月01日 19時49分 公開
[ITmedia]

 情報通信研究機構(NICT)は、慶應義塾大学、東京大学、東京工業大学、ルートらとともに、走行中の車両から5GHz帯、108Mbpsの実験局を通じて、インターネットに常時ブロードバンド接続するシステムの実証実験に成功したことを明らかにした。

 今回の実証実験は、産官学共同で推進しているSIMPLEプロジェクトの一環として行われたもの。車両に搭載されたモバイルルータから、道路沿いの電柱に設置された5GHz無線LAN局を経由して、インターネットに最大108Mbpsの速度で常時接続した。PDMA(Packet Division Multiple Access)を採用し、基地局から離れて切断する前に常に新しい基地局との通信を確保する「Make before Break」を実現し、基地局切り替え時のパケット損失を解消したことも特筆すべき点だという。

 また実験の中では、車両とインターネットユーザーと間でIP電話による音声通信やデジタルビデオ転送システム(DVTS)による高画質映像の送信といったアプリケーションを実証。さらに、接続認証やセキュリティ保護といった条件も網羅しており、「ITU-R勧告で示された第四世代移動体通信の目指す100Mbps相当の移動体通信が、今日の技術で既に実用可能領域にあることを示すもの」だとしている。

 今後NICTらは、この成果を、インターネット技術と無線技術を融合させた新しい移動体通信システムとして列車や車両、携帯電話に組み込んでいくことを狙う。また、6月8日から10日にかけて行われるInterop Tokyo 2005展示会のルートブースにて、実験の模様が公開される予定だ。

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