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» 2005年07月20日 21時05分 UPDATE

SNSで地域活性化、可能性と課題を探る

ソーシャルネットワーキングサイトを地域活性化に生かす実証実験を、総務省が年末から開始する。実験を前に、地域SNSのあり方を考える座談会が開かれた。

[岡田有花,ITmedia]

 総務省が、地方自治体でのソーシャルネットワーキングサイト(SNS)活用推進に本腰を入れ始めた。SNSで地域コミュニティーを活性化させ、住民同士の関係強化や災害時の情報伝達などに生かしてもらう考え。地方のNPOと協力し、地域SNS構築の実証実験を年末から行う予定だ(関連記事参照)

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 実証実験に先駆け、SNSの活用法などを話し合う座談会が7月20日に都内で開かれた。総務省の担当者やSNS専門家、実証実験に協力するNPO担当者、三菱総合研究所の研究員などが、地域SNSの可能性や“SNS先進国”米国の動向について意見を交わした。

SNSとは何か

 SNSの定義はあいまいだ。100万ユーザーを抱える「mixi」がデファクトスタンダードとなっている国内では、mixiの特徴――既存ユーザーからの招待が必要で、友人同士がリンクでき、日記やプロフィールを公開できる――をそのままSNSととらえる向きが強い。しかし米国には多様なSNSがあり、一様には定義できないという。

 SNS情報のニュースサイト「ソーシャルネットワーキング.jp」を運営する原田和英さんは、SNSを「個々にカスタマイズされたユーザーページ同士がネットワークでつながっているサイト」と定義。SNSと呼べるサービスは、世界に1000程度あると話す。

 ユーザー数が最も多いのは、2003年に米国でスタートした「Friendster」で、約2000万人が利用していると言われている。米国には「MySpace」「Orkut」など、100万ユーザーを優に超えるサービスが乱立しており、複数サービスを利用する人も珍しくないという。

photo Friendster

 国内SNSも大小合わせると200前後あるというが、mixi以外は伸び悩んでいるのが現状だ。この理由を原田さんは「どのサービスも同じ機能しか提供していないため」と分析する。

 “女性向け”“学生向け”などとユーザーを限定しているサービスもあるが、その中身は日記や掲示板、プロフィールなど、mixiと大差ないことが多い。ユーザー数で圧倒的優位に立ち、インタフェースも洗練されているmixiの独走は止まりそうにない。

 米国では状況が異なる。「Friendster」「MySpace」などmixiと同じような総合型SNSもある一方、写真掲載に特化した「Flickr」や、企業と人材を仲介する「LinkedIn」、授業スケジュールを共有できる大学生向け「thefacebook」など、機能特化型SNSも人気。1人で4〜5サイトを掛け持ちする例も少なくないという。

photo Flickr

地域SNSの可能性

 国内で地域SNSを始める場合も、独自機能がカギになりそうだ。地域に密着した口コミ情報などを発信できれば、住民にとって魅力が高まり、SNS参加のドライブになりうる。

 例えば、SNS上に地域の地図を表示し、おすすめ店舗の情報をユーザーが自由に書き入れていくといった例が考えられる。携帯電話のGPSで取得した位置情報を活用すれば、情報の書き込みも容易になりそうだ。

 地域の口コミ情報を集めた地方限定SNSが米国には数多くあるという。国内でも、静岡県の島田市役所などが参画する「eコミュニティしまだ」で、地図情報と連動した地域情報の提供が試みられている。

photo eコミュニティしまだの地図情報。青いマークをクリックすると詳細が見られる仕様

 地域の回覧板や連絡網の電子化も考えられる。熊本県八代市が運営する「ごろっとやっちろ」は、発信者が回覧順を設定して送信する「電子回覧板」を実装し、地域コミュニティーの仕組みをそのままネット上に移そうと試みている。

災害情報共有も

 総務省は地域SNSに、災害時の情報共有ツールとしての役割を期待する。実証実験に参加する新潟県長岡市は、新潟県中越地震の被災経験をもとに、地域SNSを被災状況把握に生かす手法を検討する。

 ロンドンで起きた同時多発テロでは、「Flickr」に数多くの現場写真が掲載された(関連記事参照)。スマトラ沖地震発生時も、SNSに数多くの情報が集まったといい、非常時の情報共有にSNSが有効だとの認識は広まりつつある。

 地域SNSでは、ユーザーに自発的に被災情報をアップしてもらうほか、一般ユーザーから「市民記者」を募り、災害時に被災状況をいち早く掲載してもらうことを検討する。市民記者には、普段は地域の店舗情報やイベント情報を書き込んでもらうなどして、SNSの活性化につなげる。

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