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GRAPE-6搭載の「デスクトップ科学シミュレータ」

» 2005年11月04日 20時04分 公開
[ITmedia]

 東京大学理学部天文学系の学生らが設立したベンチャー企業・リヴィールラボラトリは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、深宇宙環境の宇宙機とプラズマの相互作用を解明する研究を始める。天文分野専用の計算機「GRAPE-6」を使った小型で安価な「デスクトップ科学シミュレータ」の有効性検証も兼ねており、成果をもとに産業分野への応用を目指す。

photo 研究イメージ

 GRAPE-6は、浜松メトリックスがPCI/PCI-X用ボードとして市販している。同大学院理学系研究科天文学専攻の牧野淳一郎助教授らが製作した重力多体問題専用のLSIを搭載し、1ボードのピーク性能は130GFLOPS。Pentium 4/3.0GHzの理論性能の20倍超に相当するという。

 同社はGRAPE-6Aを搭載した科学シミュレータ「コスモボックス」を開発。JAXAの産学官連携支援制度「宇宙オープンラボ」に応募して選定された。コスモボックスで稼働するアプリケーションを開発し、スーパーコンピュータでも難しかった深宇宙環境下における宇宙機スケールの現象を、高解像度で捉えることができるようになるという。

 GRAPE-6の活用は天文分野に限られてきたが、共同研究を皮切りに、自動車や半導体といった産業向けの用途開発を積極的に進める。

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