Office 12のIGXグラフィックス機能の表示は素晴らしかったが、PowerPointはまだAppleのMac OS X上で動く「Keynote」ほどリッチなグラフィックではない。
それでもOffice 12は、これまでのWindowsのグラフィックスよりも大きく改善されている。同スイートはWindows Vistaと結合されてはいないが、改良版グラフィックスの中にはVistaを必要とするものもあるだろう。
OutlookはOffice 2003では最も改善されたアプリケーションだったが、Office 12では最も変わっていないアプリケーションかもしれない。Outlookの主な改良点は、to-doアイテムの処理と予定表の共有のようだ。
Office 12にはPlaxoのようなアドレス情報管理機能は実装されていないが、将来そのような機能がOffice Liveに導入されても意外ではない。
Office 12のコラボレーション機能を使うには、だいたいSharePointサーバを実装する必要がある。Microsoftの収益モデルの問題の1つに、SharePointは「ユーザーが職場の空きマシン、あるいは個人のマシンに自分でインストールするもの」を目指しているのに、MicrosoftはSharePointを「IT部門が管理するスタンドアロンのサーバ」として売らなくてはならないというものがある。
確かにSharePointはホスティング型サービスとして利用できるが、それではほとんどの一般ユーザーが利用できない。
SharePointについて言うと、このソフトとOutlookの連係はひどく不便で、通常は一方向にしか作用しない。
Outlook 12はSharePointとの「ファーストクラスの統合」を提供し、SharePointサーバを予定表、アドレス帳、文書、タスクなどの共有の情報を保存するのに適した場所にしてくれる。しかし、その機能ならExchangeサーバにもあるはずではないか?
またMicrosoftはOffice 12で新しいXMLベースのファイルフォーマットを重視している。理論上は、オープンなXMLスキーマの採用で、Office 12文書をほかのアプリケーションでも読み込めるようになるはずだ。
Microsoftは、同社のXMLはオープンでロイヤルティーフリーで「ユニバーサルにアクセスできる」と主張している。これが現実の、競争が激しく政治的な世界でどう機能するかはまだ分からない。
同社は、(Office 12では)Adobe Acrobatフォーマットに対応し、ユーザーがPDFファイルを作成できるようになることも伝えている(10月3日の記事参照)。Microsoft製アプリケーションでPDFを読み込んで編集することもできれば良いのだが。
フォームパッケージのInfoPath 12は、依然として非常にエンタープライズ志向であり、個人ユーザーがフォームを作成・設置する際に十分な手助けにはならない。このため、明らかに個人ユーザーにはAdobe Acrobat 7が必要だ。
Wordの新しい編集・デザイン機能は、テンプレートを作って使おうという気になる人を増やすかもしれない。テンプレートはより見栄えのいい文書を作る上で重要な手順となる。わたしは、実際に変更しなくても書式とフォントをプレビューできる機能が気に入っている。
FrontPageはもうOfficeの一部ではなく、Expressionsという製品と入れ換えられる。わたしには、Expressionsという名前はHTMLエディターというより、グリーティングカードビルダーのように聞こえる。
Expressionsに関するブリーフィングはまだ受けていないが、FrontPageユーザーのわたしには気になる製品だ。Expressionsのブリーフィングを頼んでみて、分かったことがあればまた報告しよう。
Tablet PC用の情報オーガナイザー、OneNoteはあまり好きじゃない。Officeのほとんどのアプリケーションは12回の改訂を経ているが、Office 12ではまだOneNote 2なのだ。
わたしには、OneNoteをWordと別のアプリケーションにしておく理由がいまだに分からない。それに「すべてを1カ所に集める」――それがOneNoteの目的とされている――必要がある時は、「Circus Ponies Notebook」というMacアプリケーションを使っている。これは非常に優れたソフトだ。OneNoteにはこんなほめ言葉は言えない。
それから、Microsoft Publisher 12もある。ただし、Microsoftはこの製品に関して沈黙しているため、皆さんはPublisher 12が存在するとは思わないかもしれないが。Publisherはテンプレートサポートが改善され、新しいOffice 12のUIを取り入れている。Publisherは優れたアプリケーションだし、新版はこれまでよりも柔軟に、使いやすくなっていると思う。
Excelのスプレッドシートのサイズ制限に縛られてきたユーザー――わたしは上限に達したことはないが――のため、Excel 12は100万行×1万6000列ものを文書をサポートするようになった。
新しいExcelのチャートエンジンは、Officeスイート全体で使われており、ソフトシャドウ、3D、透過などの機能を強化している。チャートのルック&フィールはExcel 12、Word 12、PowerPoint 12の間で一貫している。
もしも皆さんが、メディアがMicrosoftに大きな影響力を持っていると考えているのなら、次の点に注目してほしい。(わたしも含め)多くのライターが何年も苦情をぶつけてきた結果、Word 12ではついにワードカウントが執筆中に見つけやすいところに置かれたのだ。Mac用Wordではこれは何年も前から実現されていた――多くのライターがMacintoshを使っている理由はそこにあるのかもしれない。
ここで書いたことは、わたしがOffice 12について最初に思ったことだ。実際に使ってみて、もっといろいろなことが分かったら印象は変わるだろう。
テクノロジーとしては、Office 12はいいスタートを切ったように見える。しかし、ビジネスの提案としては、「アップグレードするべきかどうか」などを判断するのはまだ時期尚早だ。
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