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» 2005年12月20日 16時12分 UPDATE

ブログにスパムの悪夢再び 抜本的対策なく

トラックバックスパム被害が深刻化し、サービスに遅延が生じる実害も出てきた。対策しようにも抜本的な解決策はないのが現状。スパムに汚染され尽くしたメールと同じ道をたどる前に、業界全体の取り組みを促す声もある。

[岡田有花,ITmedia]

 かつてメールがそうだったように、ブログがスパムにまみれる危険性が高まっている。トラックバックスパムの被害が深刻化しているのだ。

 トラックバックスパムとは、ブログ記事とは無関係な迷惑トラックバック。アダルト系や出会い系サイト、ワンクリック詐欺サイトに誘導するほか、SEO(検索エンジン最適化)用キーワードとアフィリエイトリンクだけで構成した、アフィリエイト目当てのブログへリンクするものも多い。

 トラックバックスパムの構造は、スパムメールと似ている。無差別・機械的に送ることができ、スパマー側に配信リスクはほとんどない。受信側は、フィルタリングなどで被害を軽減することはできても、根絶は難しい。

ブログサービスに実害も

 「レスポンスが大幅に悪くなり皆様にご迷惑をおかけしています」──ニフティの古河建純社長は11月末、自らのブログでユーザーに謝罪した(関連記事参照)。同社のブログサービス「ココログ」で、夜間にログインできないなどの現象が多発し、ユーザーの不満が高まったためだ。

 同社によると、レスポンス低下の理由はトラックバックスパム。当時、ココログには定期的に、通常の7倍ものトラックバックが送られて負荷が急増。トラックバック先記事ページへのリンク生成を行う「リビルド処理」が大量に溜まり、レスポンスが急激に悪化した。現在は改善しているが、ひどい時は3分間以上投稿できないこともあったという。

photo ココログのトラックバック稼動状況

 トラックバックスパムの実害にあっているのはニフティだけではない。NTTレゾナントの「gooブログ」、ライブドアの「livedoor Blog」、ヤフーの「Yahoo!ブログ」、エキサイトの「エキサイトブログ」、楽天の「楽天広場」にトラックバックスパムの現状を聞いたところ、各社とも今年に入ってから、業者による大規模なトラックバックスパムが顕在化し始めたと回答。特に今夏以降、その勢いが増したようだ。

 ユーザーアンケートからも、被害の深刻さがうかがえる。ネットスターの調査によると、ブログユーザーのうち42%がトラックバックスパムやスパムコメントを受けたことがあると答え、うち13%は毎日スパムを受けているという。また全体の36%が「スパムの影響でトラックバック受け付けを中止した経験がある」とし、同62.3%が「トラックバックスパムがブログのイメージを壊す可能性がある」と答えている。

対策はいたちごっこ 各社連携も必要か

 ブログ事業者はこれまで、さまざまな対策を採ってきた。各社ともスパム発信元URLやスパム特有のキーワードをブラックリスト化してフィルタリングしているほか、一部ブログサービスは、同じサイトからの連続トラックバックを防ぐ機能や、ユーザーが独自でブロックURLやキーワードを設定できる機能も導入している。

 トラックバックの産みの親であるシックス・アパートも対策を急ぐ。同社のブログツール最新版「Movable Type 3.2」は、スパムフィルタリング機能を強化。フィルタリングソフトメーカーと協力し、スパムの自動削除プラグインも順次公開している(関連記事参照)

 ただ対策はいたちごっこだ。新たな対策を採るたび、スパマーはそれをすり抜ける手法を編み出してスパムを仕掛けてくる。「メールのSMTPと同じく性善説なツールなので、抜本的な対策はない」と、あるブログ事業者は話す。

 それでも手をこまねいているわけにはいかない。スパム根絶に向け、ニフティや楽天は「他ブログ事業者と情報共有したいと強く感じている」とする。「主要事業者がトラックバックを発信するIPアドレスを交換し合ってホワイトリストを作ったり、スパマーのブラックリストを交換すれば、ある程度効果があるかもしれない」とNTTレゾナントも提案する。

 そもそもスパムを発信させないようにする対策も必要だという意見も、一部事業者からは上がっている。自社のブログサービスがスパム発信に使われないような対策をとったり、モラル向上を訴えかけていくなどといったもの。根本的な解決策がないだけに、多様な対策が必要になりそうだ。

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