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ひろゆき氏「市民メディアはマスコミに勝てない」(2/2 ページ)

» 2006年03月13日 12時04分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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2chが「編集」しない理由

 JANJANは記事の信頼性を確保するため、必ず編集者の目を通し、事実に関してあやふやな点などは再確認してもらってから掲載している。しかし匿名掲示板である2chでは、投稿に対して別の人による編集が加わらない。その分、投稿された情報の信頼性は担保できない。

 それでもひろゆき氏は、編集は不要と考えているという。「編集する場合、どれを載せてどれを載せないか個々の判断が必要になる。例えば、『○○は良くない会社』と書いた人がいる場合、真実の検証には調査が必要。記事1本1本について1時間調査していたら1日何時間あっても足りない」

 「すると見切り発車になり、『この人は信頼できるから載せよう』『この人は信頼できないから載せない』と、記事の信ぴょう性ではなく、いわば“肩書き”で判断することになる。ぼくはそういうのが好きじゃないから、編集しなければいいのかなと」

 「編集をしないことによってクオリティの低いものや、真偽不明の情報はもちろん出てくるが、見た人が判断したらいい。それが分からなければ、使わなければいい。インターネットなくても日常生活に差し障りはないので」

 匿名性が高く、名誉き損の書き込みが続出する点が問題では、という指摘に対しては、「企業の内部告発など、匿名でないと書けないこともある。名誉き損の書き込みは、削除依頼を出してもらうか、東京地裁に行くか警察庁に行ってもらえばいい」(ひろゆき氏)とさらり。JANJAN編集委員で元TBSキャスターの下村健一さんは、「一般のマスコミが怖がる裁判沙汰・警察沙汰もいとわない姿勢が2chの強み」と感心する。

それでも市民メディアは必要か

 ブログや2chがあれば市民メディアは不要では――会場の市民記者は、イラク人質事件の例を挙げ、「マスメディアが政府の視点の話を流し続ける一方で、ブログに世論が集まり、ネットでは殺害シーンのビデオが流れた。JANJANにも記事は上がったが、量やスピードでブログや2chに負けていた」と指摘し、ブログ時代のJANJANのあり方を問いかける。

 一方で「ブログは毎日書いていないとなかなか見に来てもらえないが、ネット新聞なら書きたいときに書ける」と、記事を広く公開する場としての存在価値を認める声も挙がった。

 市民メディアの目的の1つは、当事者や専門家が自ら情報を発信することで、結果的に体制側の情報に偏りがちなマスメディアを監視したり、真実を掘り起こすこと。例えば「松本サリン事件」では、無実の男性が家宅捜索を受け、事実上の犯人扱いで報道されたが、男性が持っていた農薬でサリンを作れないことを知る専門家は多かったという。「あの時市民メディアがあり、専門家が発信していれば、何か変わっていたかもしれない」(共同通信編集委員の小池新さん)

初出時、小池新さんの肩書きを「JANJAN編集委員で共同通信編集委員」としておりましたが、小池さんはJANJAN編集委員ではありません。お詫びして訂正いたします。

photo 会場には100人弱の市民記者が集まった。メインは比較的高齢な男女。10代や20代はあまりいなかった
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