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またもインパクトに欠けたGoogleの新サービス

» 2006年03月22日 19時16分 公開
[Ben Charny,eWEEK]
eWEEK

 今のGoogleは以前のようにイノベーションを行う力を持っているのか。専門家の間でそうした疑問の声が高まっている。

 GoogleがGoogle Financeを開設した3月21日にどんな反応があったかを例に見てみよう。Google Financeは、パーソナライズされた金融ニュースや株価、企業業績のような情報をリアルタイムに収集して提供するWebサイトだ。

 新サイトを気に入った人は多くない。開設を受けて多くのコメントが発表されたが、その典型は次のようなものだ。「Googleはよくやっている。素晴らしくはないが、まあいい出来だ」。デビッド・ジャクソン氏はGoogle Financeを早速試した後でThe Internet Stock Blogにそう書いた。

 このように、大方の評価はまあまあといったものだ。多くの批評者が考えているように、Google Financeは、期待に応えきれていない、あるいは場合によっては競合サービス並みの水準にとどまっている、Googleが最近投入した一連の新サービスの1つだ。

 これらのサービスへの評価を背景に、多くの人が、Googleは、競合他社に対する大きな強みである最先端の開発力を失ってしまったのではないかと疑うようになっている。

 こうした疑念は、世界最大手のインターネット検索プロバイダーである同社の先行きの厳しさを示唆しているのかもしれない。注目を引きつけるアプリケーションを提供できなければ、Googleはインターネットポータル大手のYahoo!やMicrosoftのMSNを相手に苦しい戦いを強いられることになる。Google Financeの登場を受けて発表されたコメントの一部でもそう予測されている。

 また、Googleは新しい収益機会の開拓に失敗する可能性もある。Google Financeや、同様に不評なGoogle Videoのようなサービスは、無料サービスを提供するだけでなく、独自サービスを有料で販売する機会もユーザーや企業に提供する。だが、そうした有料サービスが人気を得なければ、収益が限られるのは確実だ。

 「Googleは着実に業績を伸ばしていくことはできない」と、Business 2.0誌のライターでITに関する人気ブログを運営するオム・マリク氏は述べている。「Google FinanceがYahoo! Financeに本当に追いつくまでには長い時間がかかるだろう。この『長い時間』はインターネット時間でだが」

 CBS MarketWatchのバンビ・フランシスコ記者も、同金融サイトの一部の会員には「Google Financeは評判が悪い。このサービスはあまりぱっとしない」と報じている。

 もっとも、Googleのイノベーション力やGoogle Financeへの評価は否定的なものばかりではない。例えば、Google Financeを支持するブロガーは、企業のティッカーシンボル(証券コード)を知らなくても財務情報を簡単に入手できることや、ニュース記事の株価への影響を調べる方法が提供されていることを歓迎している。

 「新しいGoogle Financeサービスは実に魅力的だ」とジェフ・ノーラン氏は同氏のブログVenture Chroniclesに書いている。

 だが、強烈なインパクトを受けた人はほとんどいないようだ。GoogleがWebメールのGmailGoogle EarthGoogle Mapsなど、市場を揺るがす衝撃的なサービスを続々と発表していたころとは雲泥の差だ。

 「結局のところ、Yahoo! Financeの代わりにこのサービスを使うメリットは見当たらない」とHawken Blogの投稿には書かれている。「見たところ不便な点が多い。このサービスは本来あるべき姿には程遠い」

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